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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

久しぶりの1泊吟行です!

     2023年新潟1泊吟行記(11月13日~14日)     平澤ひなこ

 コロナ禍で中断していた都市一泊吟行を4年ぶりに再開となりました。
参加者は主宰を含む19名となったので、大型バスにゆったり座り、
車中ではマスクを着用。
  
海老名を8時に出発して、渋滞もなく、関越道に入りました。
トンネルを抜けると、針葉樹林が雪を被っていてびっくり。
 
         彩雲を山に戴き初時雨     秋澤夏斗


                                           夕紀が濃い


昼前、魚沼市の西福寺に到着、庭の木々は竹で頑丈な雪囲いがしてありました。
開山堂で、幕末の名匠石川雲蝶の天井彫刻等の鑑賞をしました。

                                 道元龍

 
      雲蝶の龍の声聞く寒さかな   高橋亘
  
      刃も筆も鏝も自在や帰り花   臼井走

     
  出雲崎の「天領の里」で遅い昼食を取りました。
見下ろす日本海は白波が高く、佐渡がうっすらと見え冬の虹も見えました。
 
               海


      荒海の銀波に触るる冬の虹   小林風

食後芭蕉が「天の川」の句を詠んだとされる海岸を散策、海へと伸びた橋の途中で、
急に雹に打たれ風も強まり、手を繋いで館内に戻り、海鳥も飛びにくそうでした。

その後は良寛の生家の後を見て、 良寛記念館では、ガイドさんが良寛の書や、
貞心尼との関わりをお話くださり、興味深く拝聴しました。
 
                                    良寛



       良寛の文字やはらかき寒椿   加瀨みづき

出雲崎は、夕日の名勝地なので、夕日を見る予定でしたが
あいにくの天候で残念でした。
 その日は燕三条のホテルに泊まりました。明朝5時集合と早いので、
早々に部屋に引き上げました。

 14日はいよいよ白鳥飛来地瓢湖へ。暗い中を出発。
雨だと白鳥は田へ出かけないと聞いていましたが、祈った甲斐あって
この日は晴れてくれました。
 
 瓢湖に到着、雨風もなく穏やかな湖には、4千羽以上の白鳥と
鴨の群が湖面を占めていました。

                        白鳥沢山


      神さぶる白鳥羽を広げれば    永井詩

雲が茜に染まる頃、数羽づつの白鳥が助走の羽音をたてて飛び立ちます。
日の出とともに、数羽の群れで出かける白鳥を見れて感激でした。
     
      白鳥の筋肉質の飛び立てり    中西夕紀
      
                             白鳥跳ぶ


      朝の日や白鳥空を白くする    高橋亘
 
      白鳥の飛翔の腹に朝日かな    平澤ひなこ


         四羽

 
1時間程空を仰いで、白鳥の飛翔を堪能しました。
身体が冷え始め、湖上の白鳥も疎らになったので、7:30に句会場である
燕三条地場産センターへ向かいました。朝食は、バスの中でおにぎりで済ませました。
車窓から黄金色のひつじ田に白鳥の群が下りているのが見えました。

 7句出句の句会は予定通り進行できたので、昼食後は、センターで買い物を楽しみ
帰途へと向かいました。

爆睡の19名を乗せ、安全運転のバスは、18時無事海老名に到着しました。
運転手さんありがとうございました。
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関山さんによる、主宰の俳句の(都市10月号)鑑賞です!

「都市」十月 中西夕紀句鑑賞 関山恵一(春野同人)

   舟虫の大家族ゐる舟の裏

 舟虫は群れをなしていることが多い。浜辺に引き上げられた舟の
裏側に集まって、人影が来ると蜘蛛の子を散らすようにさっと逃げる。
その舟虫の群れを「大家族」と表現した作者の見方が楽しい。

                                             氷


   炎ゆる日の指に吸ひ付く氷かな
  
 今年の暑さは「危険な暑さ」と言われるほど異常に暑かった。
暑い外出から帰って渇いたのどを潤そうと冷凍庫から氷を取り出す作者。
その指に氷が吸い付くようにくっついて離れない。
「炎ゆる日」の措辞はまさに「危険な暑さ」を上手く表現している。

   七夕や島に子供の影を見ず
 
                   島


 海に囲まれた日本は北海道から九州まで大小の島が多い。
人の住んでいない島もあるが、中には五十人以下の人が
暮らしている島もある。若い世代が島を離れて都会に出て行き、
島は老人ばかりになって子供の姿は見えない。
七夕を迎えても五色の短冊を吊るした笹竹も見なくなった。

   雨音に陰と陽   あり花瓢

 「秋の長雨」といって秋は雨の日が多い。朝起きると外は雨、
仕方なくじっと外を見ていると、樹木や地面など色々なものに
ぶつかっている雨音に陰と陽があることに気付いた。
瓢箪の花は夕方に開く、作者の見た瓢花は
まだ莟のままであろう。その蕾を打つ雨音は静かである。

   金魚

  
   腹巻に財布の容金魚売る
 
 これは面白味のある句です。季語は「金魚」、
下町の大道に店を広げている金魚売のおじさんの腹巻が膨らんでいる。
そのふくらみがはっきりと財布のかたちになっている。
おそらく、おじさんのお財布がいわゆる大きながま口であろう。
下町の景が見え、俳諧味のある句。




山中さんからの10月号の暖かいご感想を!!

「都市」10月号を読む      山中多美子(晨・円座 同人)

中西夕紀作品「炎ゆる日」16句より
   
灼石にあづける尻神輿来る
   
ウエットスーツ腰までおろし女来る
   
雨音に陰と陽あり花瓢

                                            雨

     夏の蝶わが身を抜けてゆきしごと

 
ことに夏の蝶の作品は好きです。夏蝶の透明感が
 あります。わが身を抜けてゆきしごと とは言えないです。
 
 髙橋亘さんの句集『機影の灯』は私も大好きでしたが、
 桜木七海さんの鑑賞は素晴らしいです。やはり地元の方の
 鑑賞は一味違うと思いました。羽田空港の夕景の様子が
 しっかり描かれていて、心象的な背景にまで迫っていて流石と
 思いました。
                       煙


 湘子の一句・主宰の一句の
「殺すかも知れぬ毛虫を離れけり」の大矢知順子さんの鑑賞は凄いなと
 思いました。「殺すかも知れぬ」で間を置くとのこと。
 こういう読みもあるのかと感心しました。

                          毛虫


 加瀬みづきさんの「他誌散策」の「若竹」紹介は取り上げてある
 作品の鮮度がとても良いと思いました。
 
 好きな作品です。
  
朱雀集より
   
日くれがたこゑのきこゆる日向水    城中 良
   
菖蒲田に元禄の風ありにけり      桜木七海
  
乳牛の赤き乳房や梅雨長し       森 有也

  
白樫集より

                                      縄

   
束ねたるロープ荷台に夏木立     三森 梢
   
山蟻や深き靴跡雨を溜め       星野佐紀

  
青桐集
  
 出会ひたる河童も我も跣足かな    坂本遊美
   
聖五月ピアノに映るピアニスト     永井 詩
   
夕河岸の空は絵筆を洗ふごと     本多 燐
   
神輿待つここは浅草一丁目      盛田恵未
   
電卓の億は使はず明易し       加瀬みづき

  
都市集より
   
岩鼻や上り下りに蜘蛛の糸     小林 風
  

お洒落な横浜での吟行記です。

    10月10日(火)横浜吟行(B)  安藤風林

                             橋鶴

                          

吟行地は横浜港、特に大さん橋、赤レンガ倉庫、みなとみらい地区などです。
前日関東地方は一日中雨が降り続き吟行当日の天候を心配しましたが、
幸いにも早朝に雨が上がり集合時間の10時ころ少し青空が見えてきました。

昼前には雲が大方無くなりちょうど大さん橋に外国大型客船が停泊しており、
みなと横浜らしい景色となりました。朝、中西主宰から、
今日は近代的な都会の景色や港の海の様子をよく観察しましょうと
お話がありました。

                   くにゃくにゃ


雨上がりのせいか鯔があちらこちらでしきりに飛んでいました。
みなとみらいのロープウエイ、歴史地区の赤レンガ倉庫の屋外ビアフェスタ、
古いビルと新しい高層ビルが混在し未来への発展を予感させます。
さらにベイブリッジ、帆船の日本丸などみなと横浜らしい絶好の吟行日和となりました。

 特選句

     心にもさざなみたてり秋の潮        大木 満里

     市庁舎のまぶしき高さ鳥渡る        三森 梢

                                       県庁


     銀杏を潰さず集む観光地          芦澤 湧字

     色変へぬ松や古色の倉庫群         横山 千砂

                            レンガ


     秋晴やピザを分けたる指ナイフ       小林 風

    

Aグループの吟行は、実り豊かな寺家ふるさと村です。

         Aグループ吟行(寺家ふるさと村)    加瀬 みづき
                             花

十月七日は、秋晴れの吟行日和に恵まれました。
午十時に四季の家前に集合。一部の人は先に吟行に行っていました。

先生から「みたものをメモして、ただ見ただけでは駄目、
自分が何かに感動したものを描写する。
焦点を強める。焦点を際立たせるのに言葉と省略を合わせて書く」ようにと、
言葉を頂きました。

寺家ふるさと村は、稲架が並び、苅田、穭田、稔り田で、
谷戸一面が様々な田のグランデーションでした。
急な石畳の坂を登ると熊野神社があり、御祈願しようとすると、
社殿に、御神酒と稲穂、団栗が供えられていました。
森に入ると水引、野薊、薄、等秋の草花でいっぱいでした。
道には木の実がたくさん落ちています。
谷戸に出ると、都市の方たちに出会いました。

風が強くて稲穂波が揺れています。お若いこどもづれのご夫婦とすれ違い、
枯れた彼岸花を畦に見かけ、赤蜻蛉が群れていました。
暫く行くとツーリングの若い人々が通り過ぎ、遠くから太鼓の音が聴こえ、
栗の木には多くの実がなり、畑ではレタス。キャベツを農家の方が植えていました。

当日の特選句です。

                     いのこずち


   牛膝つけられ嬉しつけ返す   砂金 明

   電線に羽きらめきて赤蜻蛉   鈴木ちひろ

    芒


  芒ゆれ光の中の鳥の声     今村はるか

   蜘蛛糸に吊り上げられて葛の蔓 高橋 芳

                                 蜘蛛

  空高し水ゆつくりと喉通る   窪田深月

   釣果なき池に木の実の落つるのみ 高橋 芳 

   散るものに乾びし音や鰯雲   吉良 唯  

  
最後に吟行当番の私は七句全没で、先生から「言葉が目立ち過ぎる。
写生を身につける。下手で結構。どんどん正直に造りなさい」と𠮟咤激励を頂きました。
自戒あるのみです。