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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

露山さんが、新人の句を講評してくださいました!!

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都市の一句(45) 金野 露山

夏草や腰を痛めて負戦  茂呂誌江奈


作者の顔が浮かぶ場合は書きやすいかもしれないが、遠慮がちになる。
逆の場合、プレッシャーはないものの、的外れになる危険がつきまとう。

作者は未知の人であることをお断りしておく。掲句は都市8月号から引いた。
最初は3句目の〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉に食指が動いたが、
ご本人を知らずして書くのは無理があるため断念した。

zassou.jpg


「夏草」と言えば、芭蕉の〈夏草や兵共がゆめの跡〉が何といっても“鉄板ネタ”だろう。
当方など〈夏草や〉の措辞を使いたくとも端から腰が引けてしまうが、
同じ土俵で勝負しようという掲句は心意気がいい。

キラキラ


黙々と庭の草取りをしていたが、乾き切った地面にしっかり根を張った
夏の雑草にてこずり、とうとう投げ出してしまった。句意は平易だ。
立ったり座ったり、慣れない仕事で腰はパンパンに張った。
忌々しい限りだがギブアップせざるを得ない。
下5の「負戦」で諧謔味が増幅された。

ざっそう2


詩江奈という名前は都市6月号以前にないからニューフェイスとお見受けした。
〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉には、橋本多佳子の〈雄鹿の前吾もあらあらしき息す〉や、
桂信子の〈ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜〉に通じるものがある。
ひょっとしたら〈夏草や〉は芭蕉のパロディーなのでは、とも思ってしまう。
現在の「都市」会員には見られない作風にこれからも注目していきたい。

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10月吟行は、お江戸の風情の残る佃島でした。

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      10月佃島月島吟行
                          森有也
 


台風25号の影響で九州、東北には暴風雨や豪雨が襲っているというのに、
ひとり関東だけはピーカンの秋空。集合時間10時を待って
深い地下鉄から月島の町に登り出れば、埋立地特有の広い通りと
高層マンションに迎えられた。

埋め立ての基となった佃島は家康の連れ来る33名の
大阪佃村の漁民という。爾来江戸城に魚介類を納め、
将軍はもとより大奥の女房方を喜ばせたらしい。
 
                川端


その佃島に江戸の名残を見つけ、なんとか俳句に詠もうと
「都市」の会員達は、僅かに残った船溜まりの釣り人に話しかけては
鰡の子を散らし、住吉神社では七五三の写真撮影を邪魔して
隅田川の畔へと出た。高層マンションは秋日差しの中、
その影を川の流れにたゆたせている。

                   地蔵尊


今をときめくマスコミの兆児が高層階から降り来たりて、
一介の老人としてその影を河畔に落としていくのに出会う。
佃島にきたら佃煮だと、一人が買えば我も我もと争って、
日頃一円の違いにもチラシの隅々まで目を通す人達が、
値段に構わずに二つ三つと買ってゆく。中でも蝗の佃煮は高価であったが、
信州育ちの仲間の一人はその懐かしさに、どんなに美味しかったかと
語りかける。

                  佃島

 
月島に戻れば、もんじゃ焼通りは多言語通り。
異国の観光客が行きかって、もんじゃ焼き屋は満員の盛況。
そのもんじゃ焼通りを月島駅に向かってゆけば、再開発に
取り残されたような小さなビルの今日の句会場、佃会館に着く。

                                    交番
                   (警視庁最古の現役交番)
 
主宰を含めて30名の参加。 午後1時に6句の出句。い
つもは公園中心の吟行だが、今日はさすがに江戸の名残のある町で
バラエティーに富んだ句が多く見られた。
 
     集合に一番乗りや素十の忌 冬青

     鯊釣や運河の跡の水溜り         夏斗

     岸釣の桶ふみ台に佃の子         詩

     鯊釣や男の帽の目深くて         真咲
 
     迷ひてもポストに住所草の花       たまご

     月島や軽四輪に芋焼く火          有也
 

句会後はもちろんもんじゃ焼き屋にしけ込んで、
大いに気炎を揚げたのはいつもの通りである。
主宰が所用で懇親および反省会を欠席されたのは残念なことであった。


 

林火の1句

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              林火一句鑑賞                   
                            大木満里

       路次ふかく英靈還り冬の霧

昭和13年作。
昭和12年、日中戦争が始まった。13年には「国家総動員法」
前書きに、「教へ子の英靈つぎつぎ還る」、とある。
重く、深い哀しみにみちた実景の句である。

                 空


神奈川県立商工実習学校の教師として、戦地から還る白木の箱を、
見つめている作者。
白木の箱を覆う、「冬の霧」は、重く、冷たい。
路次(道筋)の奥深く、つつましく生きる、戦死した若者の家族の、
声に出してはならない、声にならない慟哭さえも、胸に響いてくる。
それは、作者の哀しみでもある。
しっかりとした定型でできているのは、哀しみを胸におさめようと
しているかのように思えてくる。

かつて「本買へば表紙が匂ふ雪の暮」(大正15年)と、
若き日の溢れる感性を詠った林火である。
そこには、青年のもつ希望とロマンチシズムががあった。
林火の自宅には、多くの学生が集ったという。

                     電線

                          
戦死した若者は、在学中に、林火と文学について語ったことが
あったかもしれない。
あるいは、俳句を作ったことがあったかもしれない。
あるいは、𠮟責をうけたことがあったかもしれない。
必死に勉強をしていたかもしれない。
かっての林火のように、友人と授業をエスケイプしていたかもしれない。
笑い、泣き、怒り、思索し、希望はこれからだったはずである。
この「冬の霧」は、さらに深く重く、泥沼化していく。
林火の、人間として教師としての誠実さが、滲み出ている句である。

参加してみました!

Posted by レオフェイ on   0  0

      俳人協会の「第五十七回全国俳句大会」に参加して   
                         永井詩


中西主宰がジュニアの部の講評をなさるということで、
何人かで有楽町で待ち合わせ、大会に出席した。
会場へ向かうとなんと大勢の方が、受付に列をなしていてまずびっくり。
会場も人で埋まっていたので、盛況ぶりに驚く。

いただいた選句集をパラパラめくると井出あやしさんの名がある。
     畑焼きて焦げし自転車あらはるる
あやしさんらしい、なにやらおかし気な句である。(御目出とうございます!!)

                   haikutaikai


大串会長がご病気で今瀬副会長のご挨拶でいよいよ開会。
次々と選句なさった先生方の講評が続く。
長時間なので壇上の先生方の疲労が気になる。
選句された句は、さすが、一万三千三百六句の中から、選ばれた句である。
句柄が大きく、格調高く、共感力が高いと思った。
読んでいて気分が良くなる句が多い気がする。
そして作者の心が出ていると思う。
これに比べて、私の場合句材が小さすぎるなあと反省。これでは共感力がないと。

大会賞では、
    春闘に挙げたる拳老いにけり   (新実欽哉)
    
    砲丸のどすんと日脚伸びにけり  (樫本聖游子)


秀逸句では
    農具市機械につよき嫁つれて   (中川正男)

    物語まだ始まらぬ巣箱かな    (石澤青珠)

が特に心に残った。
大会賞受賞者の中には、大正十五年生まれの九十一歳の方も。すごい!+
    入学の子に先生の大きな手    (河内きよし)  

大会賞の
                   犬
    
    古毛布もらう老犬クリスマス     (内山花葉)
の句で、このところ句会に欠席の、葉子さんに、我が家の犬のレオに古毛布を頂き、
愛用したことを思い出した。

嬉しいことに当日句にちひろさんとひなこさんが入選した。
 太田土男 選
    水音の語るがごとし萩の花      (鈴木ちひろ)
 
太田土男、横澤放川 選
         touka_201810021322156b6.jpg
    秋ともし文字に躓く羽虫かな(平沢ひなこ)

来年は是非、出句して、何とか予選通過を目指したいものである。
(予選通過は、全体の11,3%)
   

吟行日和の9月の吟行だったそうです!

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      9月吟行記 「府中市郷土の森博物館」     
                    樋口冬青


9月1日、二百十日、震災忌。天気予報によると「曇り、所により一時雨」。
今年の夏は記録的な暑さだった。「命にかかわる暑さ」という言葉もよく耳にした。
立秋はとうに過ぎたというのに、日が出ればまだ真夏の暑さである。
今日のような日はありがたい。吟行日和といえるだろう。
しかし「秋」はあるのか?

                           萩


句会場を確認して解散。旧府中町役場を始めとして、郵便局、学校、
古民家、蔵屋敷などが移築復元されて、黒光りする大きな梁や柱が懐かしい。
園内を更に進むと、小流れがあり、その先に萩のトンネルもあったが、
花はまだ数えるほどである。そうだ、近くに彼岸花や女郎花も咲いていたのだ。
とんぼが飛び、稲は頭を垂れはじめていて、確かに季節は移ろっている。

さっき解散した仲間たちは、一人でじっと佇んだり、数人でそぞろ歩きをしたり、
それぞれのスタイルで句を作っている。しかし私は、いくつかの言葉を
書き付けてはあるがまだ句にはなっていない。そろそろお腹もすいた。
無料休憩所で腹拵えして纏めることにしよう。

先生からの注意点「よく見て、具象的に」を忘れずに。時間は迫る、焦る。
毎度のことながら慣れない時間である。

今日の吟行句会は参加者34名、6句を1時半出句で始まった。以下特選句

      黄コスモス揺れてせせらぎ聞くごとし    高橋亘

                     リヤカー



      軒下にリヤカー一台震災忌         星野佐紀

      さわさわと箒の音とかなかなと       杉本奈津子

      花茗荷ふれたる指の滴かな         城中良
   
      山鳩の飛んでとび散る草の露        秋澤夏斗

      蓮の実の飛んで古代の風生まる        森有也
                  

  蓮のみ