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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

露山さんが、新人の句を講評してくださいました!!

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都市の一句(45) 金野 露山

夏草や腰を痛めて負戦  茂呂誌江奈


作者の顔が浮かぶ場合は書きやすいかもしれないが、遠慮がちになる。
逆の場合、プレッシャーはないものの、的外れになる危険がつきまとう。

作者は未知の人であることをお断りしておく。掲句は都市8月号から引いた。
最初は3句目の〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉に食指が動いたが、
ご本人を知らずして書くのは無理があるため断念した。

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「夏草」と言えば、芭蕉の〈夏草や兵共がゆめの跡〉が何といっても“鉄板ネタ”だろう。
当方など〈夏草や〉の措辞を使いたくとも端から腰が引けてしまうが、
同じ土俵で勝負しようという掲句は心意気がいい。

キラキラ


黙々と庭の草取りをしていたが、乾き切った地面にしっかり根を張った
夏の雑草にてこずり、とうとう投げ出してしまった。句意は平易だ。
立ったり座ったり、慣れない仕事で腰はパンパンに張った。
忌々しい限りだがギブアップせざるを得ない。
下5の「負戦」で諧謔味が増幅された。

ざっそう2


詩江奈という名前は都市6月号以前にないからニューフェイスとお見受けした。
〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉には、橋本多佳子の〈雄鹿の前吾もあらあらしき息す〉や、
桂信子の〈ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜〉に通じるものがある。
ひょっとしたら〈夏草や〉は芭蕉のパロディーなのでは、とも思ってしまう。
現在の「都市」会員には見られない作風にこれからも注目していきたい。

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風林さんが、面白い句を取り上げています。

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        都市の一句(44)         安藤 風林
      

   四時限目生徒ともども目借時      金野 露山

楽しい句である。作者は学校の教師である。四時限目だからおそらく午後一番の授業だろう。
生徒たちは中学生か高校生だろうか。ちょうど育ち盛りで血気盛んな時である。
お昼の弁当を食べ校庭で球技など運動をやって軽い疲れがあるのだろう。
授業が始まり机に座ればもうたまったものではない。生理現象として
どう抵抗しても瞼が下りてくる。ましてあまり好きでない科目であればなおさらである。
もう一つは教師の声質やしゃべり方にもよる。まるで子守歌なのだ。

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この句で面白いのは中七の「生徒ともども」というところである。
教師がしゃべって生徒が眠くなっているのかと思えば、講義している教師にも眠気が
移ってきたのだ。教室全体が居眠りの神様に支配されているのだ。
季語の「目借時」の俳諧味の意味が見事に描かれている。
そして教師は生徒たちから家族と違った意味の信頼があるのでしょう。
ほのぼのとした温かさが伝わってきます。

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作者は自分の職業を通して日々の出来事を俳句に詠む素晴らしさを楽しんでいるに違いない。
なお、私の高校時代は60年以上も前になるが、やはりこのような光景はよくあった。
昼一番が漢文の授業でお寺の住職が教師として講義していたことを思い出した。

久しぶりに燐さんが書いています!

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              都市の1句(43)
                         本多燐
      
     枯木道行き着くところ版画展      安藤風林 

 この枯木道は真っすぐなのか曲がりくねっているのか、いずれにしろ
距離があることを想起させるのは、行き着くところという表現による。
そして行き着くところにある版画展が銅版画、例えばエッチングのいろいろの黒を使った
小品の展観を想起させるのは、冒頭の枯木という季語による。
そしてその枯木道の全く枯を極めた大樹が細かい無数の枝々を空に向って広げる姿は、
銅版画に刻み込まれた美しい線の数々を想起することで、互いにイメージを増幅させている。

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また行き着くところという表現には、枯木道の枯木の姿に至る季節の移ろいやその高さ、
銅版画の線描が刻みこまれ腐蝕される緻密な工程とその深さ、
そして作者自身の歩んできた道のりの時間と空間が暗示されている。

 十七文字を棒のように上から下へスッキリと読み切らせる切れ味も俳句の
魅力だが、たった十七文字を行ったり来たりしながら、それらの言葉の持つ
イメージを重ね合わせていくのもまた俳句の魅力である。ただ前者にしろ
後者にしろ言葉をゴテゴテと飾り立てていては、それは叶わない。

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 安藤風林さんの句は日頃から句柄がさっぱりとしていて、特にその素軽い
俳味はこの頃では得がたい古風なものと思っていたが、今回あらためて
風林さんの句を味わうと、俳味というよりむしろモダンなアレゴリー=寓意を
嫌味なく表現することに長けた俳人であることがわかり、
ますます私のお気に入りの作家となったのであった。

直子さんが、純さんの句を読み解きます。

Posted by レオフェイ on   0  0

             都市の1句(43)

                              石黒直子

 
純さんの作品に出合ったのはつい最近、はじめは随分上手な方が都市に入ってこられたという印象でした。
そのうち何度か句会をご一緒して、俳句の道を究められた方という感じを持ったのです。

     うしろ手に障子をしめて春灯
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うしろ手に閉めた障子、何かわくわく心弾む思いが伝わるのは、春灯という季語から
艶な感じを受けるのです。季語の持つ明るさ、華やぎなど濃艶な時間が過ぎたことでしょう。

        追伸のやうに夕暮れの白蝶 

一日のおわり、夕暮れの白蝶とは。それは日暮れを惜しむかのように白蝶が現れた。
その日の大切なことが、白蝶の現れで再び深く心に残る一日であった。白蝶に詩情があります。
主宰は折にふれ「俳句は詩です」と言われている。夕暮れの白蝶に感動しました。

        蛇の目の少女のやうな目をしたる
 
この蛇は艶やかで少し小さかったのかも知れません。その目はキラキラ輝き、無垢の目に
作者は感動したのでしょう。純さんの柔軟な心がとらえた一コマ。

        さびしさとは書かず卯月の雨と書く                                      
 
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卯月の雨とは陰暦四月に降る雨、菜の花腐しの頃でしょうか、しとしと降る五月の長雨は心まで
濡れてしまいそうで、寂しさを誘う。それを「卯月の雨」と書かれた。作者はそっと季語を差し出した。
そこはかと感じる憂いを、作者の気持ちを、言葉で表しておられます。そして多くを語らず、
読み手にゆだねられている、俳句のお手本と思いました。人生の深さを感じました。

 純さんの句はじっと読んでいると、奥が深く滲み出てくるものがあります。
「言いさして」後は読み手に任せる。純さんの作品は色々想像ができ味わう楽しみがあるのです。
歳月を重ねてこられた方の豊穣を感じます。きっと時を経て読めば、また違った感慨を持つかも知れません。
ありがとうございました。
            


    

 

悠歩さんが、先輩直子さんの俳句と、作句姿勢を書いています。

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☆ 都市の一句 ☆(41)

       梅雨曇羽音いちづの恋孔雀       石黒直子(2015年10月号)    

                                         原 悠歩

 吟行が苦手と言うと、すぐに直子さんからお誘いがあった。
こうして町田の句会前に厚木で途中下車し
防災の丘公園へ二人吟行となった。

 紙切れに梔子などと見かけた花の名を、そして霧の中に大山が
ぼんやりと大きく浮かんでいた様子などメモしただけの私。
直子さんはと見れば孔雀舎の周りをいったりきたり、
時にはフェンスに張り付いてじっと動かない。すごい粘りようだ。
時間が気になり何度か声をかけてみたが直子さんは
じっと観察に余念がない様子だった。

 掲句はていねいに写生したうえ着眼が確か、
孔雀に一歩二歩と心を寄せて詠んでいる。
羽音いちづのとしたことで孔雀の様子がしっかり
見えてくるようだ。「恋孔雀」もなかなか言えそうで言えない、
中七からのおさまりも良く詩情がある。

 私は一緒にこの孔雀を見たものの、ただぽつんと孔雀だけが
飼われている不思議さとかなり高く飛べることが分かっただけで
句にできるとは思えなかった。俳句はまず写生、
「ゆっくり、よく見て、そしてその先、その向こう側を詠む」ことが
大切だということを教えられ、そして忘れなれない一句となった。

 直子さんはこのように写生の句が多く、実感、実景を詠んで力強い。
そして景色や歴史を立体的に、時間的な奥行きや地名を詠んで
美しく楽しい。
      
     目の玉の焦げるが如く酷暑かな
       
     洞窟へ斜めの日差虎落笛
       
     桑解くや風吹き頻る筑後川
       
     粒潮の引き戸に残る野分かな
       
     跳鯊の潮騒を聴く大目玉
        
     千年のいてふ散り敷く夕あかり
        
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     大根のしぶきに面ぬぐひけり

     うかつにも鯵のぜいごに刺されけり

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     笑はしてけふは手術日男梅雨
        
     風呂長き十五のこころ青薄

 
 また料理や家族の句もあり、これらの句から日々の暮らしを
なおざりにしない真っ直ぐな直子さんが見えてくる。


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