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俳句でおしゃべり-都市ー 「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

以前「都市を読む」を書いて下さっていた山中多美子先生(晨同人 円座同人)から、8月号の感想を頂きました。

都市8月号感想       山中多美子

八月号の扉を飾る作品は藤原龍一郎氏の短歌で
意表を突かれました。鑑賞に重みがありました。
主宰の句で特に気に入りました句は

                           DSCF4199.JPみず


栗の花筑波は遠く見ゆる山
     
焼岩魚待つ間の水のうまきこと
     
瀬音消さぬほどの音楽冷し酒  

漁具置きし小さき蚕豆畑かな


また今号は、何といっても北杜青氏の句集『忝』の特集が
良かったです。やはり日ごろ句会を共にしておられる
方々の鑑賞は深いと思いました。
三森梢さんの、青さんマジックという喩えは良いですね。

           寒林

     
寒星へ木々は枝間を開きけり  北杜青 
 
 夕紀さんの佐藤鬼房の『夜の崖』を読むの論考にも
驚きました。時代が違うのによく調べられて、時代背景の中
俳句界の動きを検証されていると思いました。
  
          
     戦あるかと幼な言葉の息白し      佐藤鬼房
     
     齢来て娶るや寒き夜の崖        佐藤鬼房


秋澤夏斗氏や鈴木ちひろ氏の『夜の崖』を読むも
簡潔にして、要所をとらえてあり心に染みました。
 
 八月号の好きな作品です。
 

散る桜
                                 


   鮎跳ねし水輪しばらく流れけり      渡辺純
   
   母の日やどちらさまかと母が問ふ    横山千砂
   
   見上ぐればあの日に誘ふ桜かな     酒匂了太
   
   修司忌や次に進めぬパスワード     田中聖羅
   
   コメディアン死して柳絮を飛ばしたる   樋口冬青 
   
   散る花にバス停ふたつ歩きけり     吉良唯
   
   まんさくの丘へ押し上げ母の腰     大塚わか子
   
   アーモンド咲いて島の子入学す     三森梢                                  

以上

(都市編集部・ブログ編集部より)

都市の会員のみなさんもこのように、自分の結社を知るため、
俳句界の現状を知る上にも
都市誌の全体を
しっかり読むようにしましょう。
  

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青さんの第1句集「恭」を、編集男子の最後は、わるさんに語っていただきます。

         句集「忝」 北杜青 三句鑑賞
                        吉川わる

          
           草の実や片方動く牛の耳  北杜青

牛の耳が片方動いているという句であるが、顔も体も
静止しているからこそ、耳に目が行ったのだろう。
穂なのか、莢なのか、草の実は風に揺れているのかも
知れないが、大きな景の中で時間は止まって
しまったようだ。牛の視線の先には作者がおり、
目を見開いてやはり静止しているのである。
牛がまた草を食み出すと時間は流れ出し、
作者も解放される。そこに、さっきまでの景はなく、
永遠に帰ってこない。

                      ツーシューズ


          七夕の雨古着屋のトウシューズ  青

取り合わせの句またがりであり、「七夕の雨」と
「古着屋のトウシューズ」が同列に並べられている。
どちらも時の流れを感じる。どちらも少し哀しい。
しかし、七夕は中国の話で、バレエは西洋が起源だ。
でも、トウシューズはどこか纏足に似ている。
何より、どちらも人の息遣いを感じる。


          食券の儚く並ぶ立夏かな 青

                                       ラーメン



子どものころ、食券は華やかな存在だった。
デパートの食堂に席を見つけると、店員が半券を置いていく。
料理がくるまでの間、ちらちら見てもけっして動じず、
威厳をもって、そこにあった。掲句の食券は牛丼屋の
カウンターにでも並べられているのだろう、
薄っぺらくて、エアコンの風に飛んでしまいそうである。
今日から夏だそうだが、わくわくすることはもうない。

青さんの第1句集「恭」へ、編集男子の語る第3弾、夏斗さん登場です。

青さんの句集『恭』を読んで
              秋澤夏斗

 
北杜青さんが句集を出した。句集名は『恭』。うやうやしい、
礼儀正しいという意味を持つ。
句集に何故『恭』とつけたのかは青さんに聞いてみないと
分からないが、いかにも青さんらしいタイトルだ。
句集の序には、夕紀主宰が青さんの優れているところを的確に
熱く語っている。読んでいて胸の熱くなる文章だ。
 
句集は四季に分けてまとめられている。「夏」の中から
二句挙げてみる。
  
簗番や穂高に沈むはくてう座 
夜空の星


雄大な景である。場所は信州。中河川の鮎の簗場の
番小屋に裸電球の小さな灯が点っている。
空には満天の星。西方に目を向けると、穂高の山並みが
シルエットとなって、白鳥座がその山影に隠れようとしている。
もうすぐ夜が明ける。
  
萍の水のすきまをまわりをり

浮き草


こちらの句は打って変わって、とても小さな世界を描いている。
田んぼの取水口周辺の景色であろうか。
萍がびっしり溜っている。注意深く覗いてみると、
水が渦をつくって回っているところがある。
その渦の周りを萍がゆっくり規則的に回転して、
くっついたり離れたりしている。

私は青さんの吟行句が好きだ。いつも人と離れて
自分の世界をつくり、人と違うところを
詠もうと努力している。その姿勢に敬服する。
その結果、青さん独特の詩が生まれるのだ。

編集部の男性による、青さんの第1句集「恭」への感想です。   まずは、あやしさんです。

         『恭』より一句         井手あやし

              秋濤に舳の跳ねて帰港せり


                        ふね2


句集『恭』の秋の章にあるが第一回朝涼賞受賞作品の二十句中
十九句目の作品でもある。この受賞作品を句誌『都市』で初めて目にした時、
一句目から引きずり込まれた。
隙のない写生句が続き、譬えれば将棋で徐々に寄せられ途中の手(句)
“夜半の秋自転車の影人乗せて”あたりで負けを悟るが、諦め悪く指し続けるも
掲句でパチリ「これでどうだ」、「参りました」と最終句を待たず
投了したような気分だった。

その後この受賞作品を折に触れて読みたくて『都市』の当該頁を
写真に撮ってスマートフォンに保存していたが、半年後位に雑談の席で
先生にこの事を話すと「皆が青さんのような句になったら困る」と
言われたので削除した。「青さんの真似など私のレベルではできるわけがない」
と思いながら。

                            本


句集には受賞作二十句中十一句程収められているようだ。
こうして句集に収められてみると群作の一句一句が独立していたことが
よくわかる。何度読んでも飽きの来ない句のひとつだ。