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俳句でおしゃべり-都市ー

〜「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。〜
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リレー句評2回目は、独特の文体の透さんです。

      線香花火
               山城透



  もう二度と来ぬ町線香花火買ふ     砂金明

一読、さだまさしの「線香花火」を思ひ浮かべました。

花火といふ、非常に派手な
まさに夏らしいものでありながら
いえ、であるからこそでせうか
線香花火はその語感も伴つて
寂しげな晩夏の雰囲気を漂はせます。

別に買ひたいとも思はず
買ふ必要もないのに買つてしまつた花火。
生まれ育つたところでもなく
知己がゐるわけでもない町。
通りすがりの
おそらくはすぐに記憶から失はれてしまふ場所。
だからこそふと
魔がさしたやうに
手に取つてしまつたのかもしれません。
その線香花火を。

           IMG_3065窓



自分がこの町を忘れないために
といふより
この町に自分を覚えてゐてほしいから。

そんな、形にならない思ひで買つた線香花火を
作者は自宅に帰つて使ふでせうか。
たぶん使はないのではないか、と思ひます。
何処かにしまひこんだまま
その町の記憶とともに忘れて
日々の生活に没入するのではないでせうか。
それは、自分の生に対して
とても誠実で真摯な態度です。
もう二度と行くことがない町のことなど
忘れてしまうにこしたことはありません。

それでもいつか
川面に時折浮かぶ小さな小さな水泡のやうに
ふつと心に浮かび上がつてくるのです。

            影


名前さへ忘れてしまつた海辺の町と線香花火が。

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