都市の1句 (52) 小寺檸檬 草の穂を螇蚸抱へしまま乾き 平澤ひなこ 野原で見つけた光景だろうか。草の穂を食べているのだろうかとそっと近づいてみると、螇蚸は穂につかまったまま命尽きていたというのである。草むらの中でひっそりと土に帰るはずの螇蚸も時にはこんなふうに命が終わることがある。 ...