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金子兜太氏の「私の現代俳句史」を拝聴して ~ 永井 詩
2009/ 04/ 02金子兜太氏の「私の現代俳句史 第1回」を拝聴した。
俳句的興味よりあの俳句界の巨人兜太氏に
お会いできるというミーハー感覚からである。
内容は氏の旧制高校時代から現代に至るまでに
交流した俳人の印象記(評論ではないと断って
おられた。)であった。
第1回は母上に俳句を止められていた氏を俳句の世界に
導いた水戸高校の友人・出沢珊太郎、
そして投句していた「土上」の主宰・島田青峰、
「成層圏」の影の主宰・竹下しづの女であった。
実は星製薬の星一の子供であったという出沢は、
兜太氏が今までに出会った天才の一人で旧制高校時代
兜太氏に多大な影響を与えた人である。
白墨一筋堀に低かり母現れよ 珊太郎
しづの女と兜太氏は直接会ったことはないそうだが、
男尊女卑の時代であり国家総動員法が出ていた当時に
毅然とし、清潔な人であったという。
彼女は荒御魂と和御魂が絶えず交流し合う
ダイナミズムを持たぬ人は良い俳句が出来ないと
言ったという。
汗臭き鈍の男の群れに伍す しづの女
島田青峰は弟子がたまたま新興俳句運動に
参加していたため治安維持法で捕まり、
獄で喀血した事が元で亡くなった。
朝のもず指パンちぎり口うらら 青峰
今年90歳になられる兜氏は兎に角言葉がなめらかで、
70年前の話のやり取りは忘れていても
相手の動作などの記憶が鮮明なのにはびっくり。
さすが俳人兜太氏!
原稿をほとんど見ずにしかも時間配分も
バッチリで感心した。
生兜太氏はテレビ以上に若々しく
さすが知の巨人であった。
次回が楽しみである。
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