fc2ブログ

奈津子さんが万太郎の句を、読み解いてくれました!

      万太郎の一句
                  杉本奈津子

 

        囀りに木洩日に刻うつりけり
                             久保田万太郎


春になって鳥の声も地鳴きから
恋の囀りへと変わってきた。

木々の芽吹きも日々解れ若葉も
濃い緑へと変わりつつある。
木洩日が地面に丸い輪を
作っている。

時は刻々とうつり春を運び
楽しげな鳥の声も木洩日の揺れも
時間の速さを知らせている。

春になった嬉しさと共に留め置く事の
出来ぬ時の流れに淋しさも湧いて来る。
ある年齢になると共感を覚える感慨だ。

毎朝、画眉鳥の囀りに起こされる。
美声の為中国から輸入され、
声があまりに大きいので捨てられ
野性化し逞しく繁殖して生息域
を広げつつある。
この時期は殊に大きく鳴き交わす。
恋の季節なのだ。

木々が瑞々しい若葉を広げている。
葉は日々大きくなり気が付けば
地面に影を落としている。
木洩日が影の中で踊っている。

         IMG_2638.jpg
    


外は正に春爛漫、命の輝きに満ちている。
だが、輝きの輪の外に立つ人もいる。
そんな人にとって春はとてもまぶしい、
掌を零れていった光は戻ってこないと
分かっているからだ。

春は希望と共に淋しさも誘う季節だ。

スポンサーサイト



レオフェイ
Posted byレオフェイ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply