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「都市一句鑑賞リレー」 ( 5 )
2013/ 05/ 07「都市」1句鑑賞リレー
盛田恵未
揺すらねば眠りに入りぬ雛あられ
野川美渦 2010年6月号 巻頭
心配そうに雛あられを見つめている作者が見えます。
雛あられがスーと眠りに入りそうになるのを揺すって
起こしています。コロコロ、さわさわあられが揺れます。
だめだめ眠ってはだめ。美渦さんは何故か拘っています。
雛あられが異次元へ行ってしまいそうに思われるのか。
雛あられに託し何かに抗っているのかもしれません。

ストンと消えてなくならないように。
怖く知らない世界に行かないように。
不思議な句に惹かれました。
美渦さん独特の感性の句です。
ひな祭りといえば、子供のころお隣にお呼ばれした
記憶があります。八段飾りの美しいお雛様の前、
ちらし寿司に蛤のお吸い物が出ました。
ぼんぼりのほのかな明かりに、お雛様が今にも
動き出しそうでなんだか怖く思えたことを覚えています。
雛あられの白は雪、桃色は生命、
緑は木々の芽をあらわすそうで、
やわらかな色合いは心癒されます。
なんだかうとうとしてきたところで、
どんな夢が待っているのでしょうか。
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