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聖羅さんは、万太郎の句をわかくさいろで迫ってくれました。
2013/ 05/ 25「万太郎のわかくさいろ」
田中聖羅
とじ絲のいろわかくさやはつ暦
久保田万太郎
昭和34年、新年の句で、亡くなる4年前の作である。
昭和32年にすでに文化勲章を受けている。
新年を迎える暦を見て、とじ絲の「わかくさいろ」を詠んでいる。
「わかくさいろ」は、優雅な上に若々しく希望の色である。
新年を迎えた清々しさが伝わってくる。
とじ絲の絲の字面も気品を添えている。
万太郎の懐の深い句の数々はさておき、風流人らしく
「食」への欲、楽しみが感じられる「わかくさいろ」もある。
虹いでてそらまめも茹であがりけり
なんとも色を感じる句ではある。
そらまめの「わかくさいろ」が、これから飲むお酒を
おいしくするだろう。
そらまめの句では、もう一句、
そらまめのおはぐろつけし祭りかな
があり、その色が創作意欲につながっているのではないか、と思う。
わかくさのいろも添えたり切山椒
粉ぐすりうぐいすいろの二月かな

練達の玄人らしい特色や、鋭い観察と巧みな言葉による句が多いなか
「わかくさいろ」を詠む句は、なぜか素直に響いてくる。
それにしても“風流であるなあ”と凡人は
ため息をつくばかりである。
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