2009年夏 燐さんの見つけた 楽しみとは?
2009年10月04日 公開

メダカと睡蓮とミナミヌマエビ
本多 燐
この夏、我が家の庭でメダカを飼うことにしました。
7月の初め、まず手始めに常滑焼の水鉢をネットで購入。
5千円という特価品でしたが、庭の紫陽花のそばに据えると、
それらしい雰囲気を醸し出してくれました。
次は睡蓮を植え付けるための土の用意。
「都市」の美渦さんに無理を言って、
田んぼの土を分けてもらいました。
バケツの蓋をあけると田んぼの香りがムッと立ちあがる。
滋養のいっぱいに詰まった土の香りです。
土をスコップですくうと、粘り気があり思ったよりも
重たく感じられます。
水鉢の3分の1くらいまで土を埋め終わったら、
姫睡蓮を買うために近所の花屋へ向かいます。
元気そうな株が色々とある中で、
店の隅に見切り品として250円の株があったので、
元気のない株でしたが、断然安いのでそれを買うことにします。
「何色の花がいいかな?」花屋のおじさんに尋ねられ、
黄色の花が咲くという株を選んで帰り、
水鉢の土に植え付けました。
そして水道の水を鉢いっぱいに入れると、
水は濁って茶色くなり水底が見えません。
でも3日もすれば土の粒子が沈んで澄んだ水になります。
そのころを見計らってメダカを買いに行きました。
1匹60円の緋メダカを6匹買って、
水鉢の水と温度をあわせてから、放してやりました。
澄んだ水をキラキラ泳いで綺麗です。
しかし、これが大失敗でした。
それから5日間のうちに6匹のメダカが
次々に死んで全滅してしまったのです。
どうも水鉢の水がメダカに合わなかったのが原因のようです。
水道の水は、人間が飲めるように消毒されています。
その意味で綺麗な水ではあるのですが、人間にとって
綺麗な水が、メダカにとって住みやすい水ではないのです。
メダカにとって住みよい水は、メダカの尿や糞、
それに食べ残しの餌を分解してくれる適度の
バクテリアが住み着いた水です。
バクテリアがいない水はアンモニアの濃度が上がって
水に溶けた酸素が少なくなり、メダカが窒息して
しまうのです。
バクテリアが適度に繁殖するには最低1週間は
必要なのですが、3日目の水では、やはり
早すぎたようです。
残念だけど仕方がない。もう一度メダカを買い直そう・・・
と思いながら、10日目の水を覗いていると、
驚いたことにメダカの稚魚が1匹、水面を泳いでいるのを発見!
どうやら死んでしまったメダカが姫睡蓮に
卵を産みつけていて、それが孵化したようです。
次の日にもう1匹、その次の日にはもう2匹と、
次々と生まれた稚魚は15匹になりました。
全滅した6匹の倍以上のメダカが水鉢を
泳いでいることになります。
そのころには姫睡蓮もいくつもの葉を伸ばし、
水面覆いました。きっと田んぼの土との相性が
よかったのでしょう。
見切り品で元気がなかったのに、
花の蕾をどんどんつけて、8月になると
5日おきに可憐な花を開くようになりました。
蕾は水面に顔を出した翌日の午前10時ころから
開きはじめ、30分もしないうちに美しい花の姿を
見せてくれます。
不思議なことに必ず一粒の水滴を花の真ん中に
たたえています。
花は午後の3時には閉じてしまい、
翌日の午前10時に再び開花しますが、
3日目の開花を最後に、再び開くことはありません。
メダカの稚魚も少しずつ大きくなって、
1ヶ月もすると成魚の姿になりました。
ところが15匹いた稚魚が均等に
大きくなるわけではありません。
大きい個体はどんどん大きくなり、
小さい個体は小さいままなのです。
卵から孵化する日数に1週間ほどの誤差があったので、
そのせいかと思いましたが、2ヶ月経っても
大きい個体と小さい個体の2分類は変わらず、
その内に2か月が経ってみると、
15匹いたメダカが10匹になっています。
もちろん小さい個体から死んでしまったようなのです。
これから秋になり、そして冬を迎えれば、
弱い個体はどんどん死んでしまうのでしょう。
きっと大きくて強い個体だけが越冬し、
翌春に産卵をするのだと思います。
そうやってメダカは、種の保存に努めているのです。
きっとそれが自然の摂理なのでしょう。
ところでメダカを買ってから1ヶ月ほどたった
8月はじめ、釣り具屋で売っていた釣り餌用の
ミナミヌマエビを4匹買ってきて、
メダカの水鉢へ放してやりました。
このヌマエビは繁殖力旺盛で、
あれよあれよと産卵し、
今では30匹以上のエビたちが、
睡蓮にまとわりついた苔やバクテリアの死骸を食べて、
水の浄化に努めてくれています。
メダカとエビは大変仲良しで、喧嘩をしません。
ところがメダカとエビの性格はずいぶんと違います。
メダカはメダカ同士、餌をめぐって互いに
追いかけまわすのですが、ミナミヌマエビは
餌の取り合いをほとんどしません。
メダカが縄張り主義者なのに対して、
ヌマエビは平和主義者たちで、
それだけどんどん繁殖して
エビ人口を殖やしているようです。
そのかわりヌマエビの寿命は1年に満たず、
次から次へと繁殖し、次から次へと死んでいって、
代替わりをしながら種の保存に努めているのです。
・・・・いつのまにか9月も終ってしまい、
睡蓮の蕾も最後の1個になってしまったようです。
メダカとミナミヌマエビにとって、
だんだん厳しい季節になります。
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