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我らが編集長の登場です!!

2013/ 09/ 29
                 
         「都市」の俳句鑑賞(10)

                             永井 詩


    鷹鳩と化す継ぎはぎのアスファルト

                   本多燐(都市2012.6月号)



「鷹化して鳩と為る」は中国古代の
天文学による七十二候の一つである。

春の穏やかな気配の中では鷹は鳩に変身してしまうという
意味である。

          IMG_9293.jpg


私は以前からこの季語を使いたかったのだが
取り合わせが浮かばない。
古臭くなったり、お伽噺めいてしまう。

燐さんの一見とぼけたような取り合わせを見て、
こう来るのかと感心した。
リアル!面白い!

燐さんの句は「鷹化して鳩と為る」を「鷹鳩と化す」
と短くしたことで古臭さが減り
現代的な下の部分としっかりマッチしている。

この季語は、季語の解釈は分かっても
季語のイメージが今一つはっきりしない。
つまり実感を持てない季語なのである。

このあいまいな季語に具象的な
取り合わせをすることで、この季語を
しっかり捉えて自分のものとしている。

春先は道路工事が多い。
冬場は目立たなかった継ぎはぎが
春の光で浮かび上がってきたのだ。
気が付けば道路は継ぎはぎだらけではないか。
几帳面な日本人らしく正方形だったり、長方形だったり。
そして継ぎ目からはど根性たんぽぽが生えている。


      IMG_9201.jpg


句から明るい日差しが見えてくる。
春の気分を感じ思わず深呼吸をしている作者のウキウキ感が
乗り移ってくる。

ああ、何気ない日常に季節を感じる
詩人の燐さんがつくづくうらやましい。

日頃、感度の悪さを年齢のせいにしている私だが、
前向きに日常生活を生きることで
もっともっと色々とみえてくるのではと
思わせて下さった楽しい俳句だった。
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