fc2ブログ

Article

        

山男の岳童さんの自然の中ではぐくまれた感性はさすがです!

2014/ 01/ 24
                 
    都市の一句鑑賞(14)

                川合 岳童

   
  人ごみに人と別れて十二月
          
       杉本奈津子(都市2013、12月 中央句会特選句)

雑踏の中で人と別れた、只それだけの事ですが、
下句の「十二月」によって俄に深みのある句となった。

人ごみ、それは悲喜こもごも混沌の世
そのものではなかろうか、
人は出会い又、別れを繰り返す。

十二月は単に一年の締めくくりに止まらず、
来し方を振り返り行く末を想う
季節でもありましょう。

恋人か友人か、懐かしくも束の間の再会、
そして別れ、師走の盛り場で名残を惜しむ暇も無く、
雑踏にのまれて行く人影を追う作者。

そんな場面の、読者に余韻をなげかける
一句である。

    IMG_7497.jpg


また藍句会12月のW特選句も特筆すべきものである。

  雪を置き巨人となりぬ樅大樹

雪を冠した樅の大木を巨人に例えた断定は
説得力がある。

揚句からは、度々スキーで訪れた蔵王の樹氷を
想い画く事が出来ます。

雪をまとった樹々は人や動物に見え、
今にも動き出しそうな自然のオブジェに
感動したものです。

  鴉来てつついておりぬ初氷
            
       IMG_7409.jpg
           
薄氷をつつく鴉、もしかして氷を初めて見た若鳥かも、
その優しく暖かい作者の眼差しが見えて来る。

奈津子さんは、都市においてその作風を
踏襲する実力派、
平明にして深く人の心を打つ作品を
次々と生み出している。
スポンサーサイト



                         
                                  

コメント