一人吟行もなさるという葉子さんと今回は熊野古道をお楽しみください。
2009年11月13日 公開

熊野古道 松井 葉子
俳句を始めてから一番の楽しみは吟行です。
句友と行くのはもちろんですが一人吟行も
気楽なので時々ひょいと出かけます。
先月は三重県の叔母の入院見舞いに行った
帰りに熊野古道を登ってみました。
前回は従姉妹が案内してくれたのですが、
今回は一人。
熊野市にある「松本峠」の看板を横目で
確認しながら石段を登っていきました。
この峠は道の世界遺産に登録されているので
人の手はほとんど入っておらず、
鎌倉時代の不揃いの石段が続く。
早朝なので人っ子一人いない(少々不安・・)
小川のせせらぎ、鳥の囀り、爽籟が五感に
沁み渡る。
両脇の崖には上から落ちて来た大岩が杉に
支えられ辛くも止まっている。
驚いた事は杉が大岩の上に根を張り
生きづいている事。
暫く登り、孤独に耐えかねて振り返ると、
ようやく高齢の男の方が杖を手に登って来られた。
大丈夫かしらとこちらの心配を他所に
楽々と追い越されてしまった。
石段を登りつめ、竹林の道を歩いて行くと
鉄砲傷があることで有名なお地蔵様が迎えてくれた。
ここで一服し、汗も引いたので歩き始めると
三叉路に出くわし、迷っていると先ほどの
老人がひょっこり現れたので、熊野駅への
道を尋ねた。
すると「では私に付いてきな
さい」と先に立たれた。
道々話しを伺うと元高校教師をされていて
定年後は毎朝古道を歩かれているとの事。
(どうりで足が速い訳でした)
その方のお蔭で道に迷わず、電車に間に合い
駅でお土産の秋刀魚の丸干しと目張り鮨を
購入する時間が取れました。
熊野古道は平安時代から続く「熊野三山」への
巡礼道ですが、昔旅人が病気や過労で倒れると
道のお地蔵様が化身して助けたとのこと。
私が出逢った老人も、もしかしてと思わされ
ました。
また熊野古道では年四回俳句大会が行われて
います。昨年の入選句
一莫の音のみ谿の涸れ兆し 満
落葉踏み異界への道のある如し 竟二
熊野古道へは、新宿、横浜からも夜行バス
が出ており、だいぶ便利になりました。
スポンサーサイト