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古典の勉強会に参加の、たまごさんの一茶の感想文です。

2014/ 02/ 27
                 
     小林一茶「つひの栖」

                       小林 たまご


一茶と聞いて、どんな句を思い浮かべるだろうか。

  我と来て遊べや親のない雀      七番日記

  雀の子そこのけそこのけお馬が通る  八番日記


などの句であろう。
これらの句から子供や動物に優しい心素直な俳諧師と思う。

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ところが、こうした句を詠みだすのは五十代の晩期に
なってからである。
六十五才の生涯で2万一千句を詠み、
芭蕉が五十年の生涯で千句
六十七才まで生きた蕪村が二千九百句
と比較して多作なのに驚く。
多作であるゆえに、類想句や先輩、友人の句の
模倣なども見られる。

また、一茶の句は時の政治とか、社会事象に心を
動かされ詠んだものも多い。
しかしそんな句のほとんどが句集には載っていない。
作品として残さなかったと見られる。

句の作り方は、身の回りの情景や感じたことをすぐに
五七五に素直に書き留めるやり方のように思える。
当時、一茶のような「不耕の民」は農耕もしない丈で
日陰者として生きたが、若き日から晩年まで一貫して
変わらないのはあらゆる命へのやさしさである。

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杖にすがり、よろめきながら生きた一茶の「つひの栖」は
五十才の帰郷の句
 
  是がまあつひの栖か雪五尺    

の文化九年の家ではなく火事で焼け残った土蔵であった。
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