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奈津子さんが愛猫家の田鶴さんの句を鑑賞します!

2014/ 03/ 17
                 
     都市の一句鑑賞(15)      

                     杉本奈津子


 
    守るもの猫のみとなり柿紅葉             
                        井上田鶴

田鶴さんは時々猫の句を作る。
この句は藍句会の時(守)という題で作られた句だと思う。
(守)という字から田鶴さんの中に飼い猫の姿が
よぎったのだろう。

子供達も夫々独立し今はもう守ってやるべき存在は
猫のみだという感慨が生まれたのだろうか。

             IMG_6820.jpg


猫とはいっても一緒に暮らしている掛替えのない
家族だ。愛しい存在だと思う気持ちが伝わってくる。

猫も我も今は静かで穏やかな秋の季節の中にいる。
(柿紅葉)という季語には猫と自分の過ごしてきた
年月も表れているようで心に沁みて良いと思う。

ところで、この猫は田鶴さんの何代目かの
飼い猫で前の猫が亡くなった後、
近所からやってきて住み着いたのだと聞いた事がある。
外暮らしに余程懲りたのかその後は家から
ちょっとも出たがらないのだそうだ。

            IMG_8437.jpg


田鶴さんにこんな句もある。

  春光や十年(ととせ)暮せし猫老いて 

今は猫も年を取り丸くなって寝てばかりいる。
春光が照らしている。
そして温かい眼差しの作者がいる。

田鶴さんの句で又この猫と会えるかもしれない。
楽しみにしている。 
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