fc2ブログ

Article

        

火は人を色々な気分にさせますが、、、

2014/ 04/ 19
                 
     橋本多佳子一句
                      高木光香


「寒月に焚火ひとひらづつのぼる」

わかりやすい鮮明な情景である。
炎をひとひらと見たその感性に共感する。

多佳子俳句には素晴らしい句がたくさんあり、
好きな句、有名な句も多い。
この句はその中で地味ではあるが、
私には心惹かれる句なのである。

多佳子4女の美代子さんの述懐に
「火をつけるのが、とても上手だった」
という一文がある。

IMG_7823.jpg


その頃5~60年前の昔にしても、
マッチがふんだんにある訳ではなく
火を熾すのは大変だったと思う。

茶の湯に、炭点前というのがある。
濃茶を差し上げる前に炭を整えるのである。
下火をまとめておき、その上に火がつくように
炭を組みたてていく。モタモタしていたのでは、
下火が崩れていくし、組む炭も灰まみれになって
汚くなってしまう。

管炭を右から扱うか、丸ぎっちょをどう入れるかなど、
手際よく素早く判断する。そして最後に炭の形を
美しく仕上げるのはもちろんである。

頭の良さ、手際の良さが必要となる。
かまどの火、暖炉の火、火ばちの火も皆同じと思う。
昔も今も火を上手に扱うことは、生きていく上で
大切な基本である。

橋本多佳子という人は頭の良さ、手際の良さ、
その二つを持っていた人と思う。

今は4月、春爛慢の美しい季節である。
それなのに、寒月の焚火の句ではいかがなものか!と
申し訳なく思う。

IMG_7920_20140419173947ab6.jpg

が、私にとって火とは、線香花火、焚火、山焼き、
どんと焼き、火ばちの炭火、茶室の炉の炭火、鍛冶の火、
など見ていると心が落ち着いてきて、安心してくるもの。
そう私は火を見ているのが好きなのである。
スポンサーサイト



                         
                                  

コメント