今回から新しく「主宰の俳句鑑賞」が始まります!お楽しみに!
2014/05/24 主宰の俳句鑑賞1
野川 美渦
草笛のどこかとぼけてをはりけり 中西夕紀
第三句集『朝涼』に収められたこの句は、
主宰の自選12句に入っていません。
おそらく『都市』の会員にも『朝涼』の中から特別に
取り上げられることはあまりないと思われます。
あれは七国山吟行でのことでした。
草笛を吹けると自慢した私に、主宰は
「吹いてみて」「吹いてみて」とせつかれました。
草笛といっても実際はカラスノエンドウの実を吹いたものです。
美しい音色というよりは、低音のちょっと間が抜けたような
音しか出せません。おまけに季節は晩秋にさしかかり、
半分枯れていて音が伸びませんでした。
主宰はここを見逃さなかったのでしょう。
「実際にしっかり見て作る」よく口にされるこの言葉を
実践されたという訳です。
あの日主宰の句のスーパーモデルになった私には、
草笛というとこの句以外浮かんできません。
この句を思い出すたび、今度こそこぴっと見て作ろう。
そう心に誓うのです。
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