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現代俳句勉強会「三橋鷹女」の番外編です。

2014/ 09/ 30
                 
   三橋鷹女と「ゆさはり句会」

                        永井 詩
 

「ゆさはり句会」は鷹女が指導した、日鉄鉱業の
職場句会である。
始まりは鷹女の年譜では昭和12年となっているが、
思い違いらしく昭和22年頃のようである。

「ゆさはり」とは、ぶらんこのことである。
参加者は15名~18名位で、月1回開かれていた。


非社交的で厳しいイメージの三橋鷹女であるが、
メンバーの三村氏によると個性に応じて伸ばす
懇切丁寧な指導だったそうである。
定型を守る必要性は常に説かれたこと、
芸術面ではとても厳しかったが、
人間的には実に温かな人であったとのこと。
そして、鷹女もサークルのメンバーとは旅行も楽しんでいる。
              
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後に鷹女が参加した「薔薇」「俳句評論」に
「ゆさはり句会」のメンバーである三村勝郎(同人になっている)、
三村ふく子の名前を見付けて私は嬉しくなった。

「ゆさはり句会」での句は句集の「白骨」にも推敲して
収録されており、しかも有名な句の多くが「ゆさはり句会」の
兼題でつくられたものであることが面白い。

   燕きて夫の句下手知れわたる
   天が下に風船売りとなりにけり
   天道虫天の密書を翅裏に


これらの句は兼題の燕、風船、天道虫で作られているのである。

「都市」でも席題で作句する「藍句会」をやっているが
確かに皆さんが思いがけない発想の句を作りとても楽しい。
鷹女の代表句が兼題で作られたとは、なるほどと思わせられる。

戦前から10数年結社から遠ざかっていた鷹女にとって
「ゆさはり句会」とのかかわりは、作句意欲を
かなり刺激したと思う。
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前書きが長くなったが、私が好きな句は、

  老いながら椿となって踊りけり    「白骨」

である。
この句は「ゆさはり句会」のメンバーや子息とのダンスの
一夜で作られている。

椿とはすごい発想である。椿は落椿となっても妖艶な
花である。くるくると回りながら、老いていく女が、
椿そのものになって踊り続けるという気持ちの高まりが
面白い。

この句を読むと私はなぜか、ディズニーランドの
ホーンテッドマンションのくるくる踊り続ける
亡霊たちを思い出すのである。

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