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遊美さんによる梢さんの句の紹介です。

2014/ 11/ 11
                 
                                 都市の1句鑑賞(20)

                         坂本遊美

     山国や刈田の空は鳶のもの
                         三森梢  「都市」2014年2月号

稲刈が済んだ刈田はさっぱりとして広々している。
遥かに山が見えるが空間を遮るものは何も無い。
そんな中を風に乗って縦横無尽に一羽の鳶が飛んでいる。
なんて気持ちよさそうなのだろう。
稲の収穫が終わった安堵感が辺りに漂っている。

IMG_6934.jpg


上田宿泊吟行のバスの移動中の一瞬の景であるが
その夜の句会にこの句は出句された。

それまでも吟行の時しばしば
梢さんの何気ない表現が的確な事に脱帽していた。
この時も思った。同じ風景を見ていたのに、、、、、
「鳶のもの」という捉え方は「梢さんのもの」なのだ。

梢さんには数年前の句に

鳶の子の不揃ひな羽大南風              「都市」2011年10月号
がある。

まだ飛び立つには羽がそろっていないが
大南風に乗って飛び立つだろう鳶の子。
これからを予感させる句は何時か大空を自由に飛ぶ鳶と重なってくる。

IMG_6960.jpg


鳶はその時の梢さん自身ではないだろうか。
今や梢さんは俳句の自分の世界の中を
自分の言葉を大切に自由に飛んでいる様に思える。
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