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たつやさんの前向きな日常が、描かれてます。
2014/ 12/ 02 都市の一句鑑賞(21)
三森梢
アルバムを静かに閉ぢて盆用意澤田たつや
『都市』2013年12月号に掲載された
特別作品「秋声」中の一句です。
アルバムを拡げ、美しい風景にその時の光や
風を思い出し、そこに微笑む家族の方と心の中で
会話の時を持たれたのかもしれません。
そして物思いから醒めると、お盆の仕度へと
気持ちが向かいます。大切な方を
お迎えなさるのでしょう。
思い出が壊れない様、そっとアルバムを
閉じる作者です。

でも、過去ばかり見ている作者ではありません。
旅を愛し、新しい事に取り組む強い意欲を
持たれているたつやさんです。
旅の靴きりつと結ぶ鰯雲
同じく「秋声」中の句。
靴の紐を固く結ぶ姿から、これから始まる旅への期待や高揚感を感じます。
そして暖かな眼差しと的確な描写で、多くの旅吟を生み出していきます。
旅は、自然への畏敬の念を思い起こさせてくれ、
そこに生きる人々の暮らし振りを垣間見せて
くれます。又、未知の世界への好奇心も満たしてくれます。

こうした旅の日々から新しい刺激と活力を得て、
それを詩情豊かな作品へと昇華させている
たつやさんであると思うのです。
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