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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

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2015-08-03 (Mon) 10:42

燐さんの迫り方すごいです!

        ゆらぎ       

               本多 燐

 

地下鉄の先の闇みて年つまる    北杜 青
 
探梅や影落とし行くロープウエイ   北杜 青
 
交番の奥まで見えて梅早し      北杜 青



三句とも、時間と空間が入れ替わってしまったような感じがする
不思議な句です。
入れ替わらないまでも、時間と空間が少しズレてしまっている感じ。
自分という存在が、時間の中にいるのか?
空間の中にいるのか?
時間と空間がぴったりと重なっているということが、
錯覚であると、それに気づいてしまった不安が、
静かに立ち上がっています。
 
季語は、時間や空間の既視感を前提としている・・・。
その共通認識を無意識のうちに逆手に取って、
生のゆらぎを発見している三句と言えます。
例えば「探梅」という一見主体的な行為は、
既視感により安定を与えられたものです。


                              IMG_9773.jpg

 
しかし、浮遊するロープウエイの影が、
少し後ろを遅れているのを発見した瞬間に、
時間と空間の断層に気づき、自分がどちらにいるのか、
俄にわからなくなってくる。
しかも、ロープウエイは、強制的に「探梅」という行為に
自分を引き連れて行ってしまう。
逆らえず、安定へ安定へと、自分を引き連れて行ってしまう・・・かのように
思える。

三句とも、やや散文的なところが、生への不安を一層深めています。
つまり詩に昇華する一歩手前の、美的に抽象化される一歩手前の、
不気味な感覚です。

                     IMG_8274.jpg
             
 
一方でグロテスクな感じが、それほどしない。
それを感じさせないところに、自分だけに見えてしまった”怖さ”が
有るように思えます。
 
なお、冒頭の三句は、作者の俳句としては並の部類に入ります。
巷間の評価をもってすれば、作者の代表句は他にもたくさんあります。
ただ、こういった普段使いの言葉に、無理を少しも感じさせない奥行きが有って、
群れないところも、私の好むところの俳句です。
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最終更新日 : 2015-09-09

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