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新人の千砂さんの登場です!!

2016/ 02/ 04
                 
    都市の一句(28)  あたたかなまなざし
                               横山 千砂
    
    
 コスモスの揺れの中から声がする    小林 たまご

ピンク、赤、白、色とりどりのコスモスが咲き乱れる
広いコスモス畑が目に浮かぶ。
そして、姿は見えない子供たちの嬉々とした声が
青い空に響き渡る。

                      DSCF3989.jpg


背の高いコスモスが子供達の姿を隠し、その迷路のような畑の中を、
子供達は楽しみながら散策している。
その様子を見つめる作者の温かなまなざしが
読者である私たちにもほっとした安心感を与えてくれる。

この句は「コスモスの花(・)の中から」でなく、
「揺(・)れ(・)の中から」にしたことで、
動きが見えるとの評得た句でもある。
作者のこうした日常のさりげない一瞬を切りとるまなざしは、
他の句にもよくあらわれている。

    昼顔の折り目正しく萎みたり
   
    糸蜻蛉生まれてすぐに風に乗り

    ねんねこの下より足が遊びをり

    職人の足袋に穴あり畳替


                                          DSCF3959.jpg


いずれも、小動物、植物、子供、職人、、、、
それぞれのふとした一場面を温かなまなざしで切りとった句である。
俳句をつくるものが持つべきこうした視点を、
私も是非見習いたいと思う。

と同時に、作者たまご氏の句には、
故郷であると思われる信州方面の句も多い。

甲斐駒の遠くに見ゆる田植かな

   ほの紅く一村染めて花林檎

   足湯より浅間見あげて年新た


その故郷から餅が届く

   故郷の寒餅反りて届きけり

そうした故郷への限りない思慕が、
氏の心の根っ子を支えている。
そう思わせる俳句の数々である。
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