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現代俳句勉強会で、岡本眸を担当した明さんの、眸俳句の鑑賞です。

2016/ 05/ 09
                 
28年4月ブログ 岡本眸の1句
                         砂金明

鈴のごと星鳴る買物籠に柚子


岡本眸の第1句集『朝』にあるこの句は、昭和37年に
句友曽根けい二と結婚し、北区田端に新居を構えた時の句です。

当時はまだ都電が通り、神明町車庫前という停留所まで
毎朝夫を送って行ったそうです。
近くに田端銀座という賑やかな商店街があり、
夕飯の買い物に行く作者の姿が見えます。
エプロン姿にサンダルをはいた新妻は、八百屋で形のよい柚子を選び、
他に何を買ったのでしょうか。

            IMG_8678.jpg


夜空で星が奏でる清かな鈴の音は、作者の心の中で鳴り響き、
まるで作者自身が鈴になった様に思われます。

幸せな結婚生活の喜びが澄みきった言葉となって
溢れ出ています。この天真爛漫さは、天性のものであり、
読者に率直に語りかけてくる眸俳句の特色の根底に
あるものと思われます。

        DSCF7448.jpg

「鈴」は作者の中に沈静し第2句集『冬』には
「身辺に鈴の音満つるごとく冬」
第9句集『流速』では
「水飲んで鈴となりけり衣更」
と再び表出してきます。

掲出句に呼応するように、曽根けい二の
「鳴る鈴をどこかに秘めて寒き妻」という句もあります。
 
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