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今回の都市の一句は奈良への旅に誘われます。

2016/ 11/ 13
                 
       都市の一句鑑賞(34)
                        秋澤夏斗

           
            夢殿の宝珠暮れゆく冬の鵙   髙橋 亘

亘さんの挙句を『都市』に見つけたとき、
半年前に見た斑鳩の景色が鮮やかに蘇ってきました。
夢殿と鵙の取合せが抜群で辺りの田畑の様子まで
はっきりと思い出すのです。

                  IMG_7986.jpg


西方が赤く染まった空にシルエットとなった夢殿の宝珠。
田畑の上の空には塒へ帰る鳥の群が黒点となって
浮かんでいます。なんともゆったりとした至上の
ひとときでした。

昨年の11月下旬に夕紀主宰のお誘いで亘さんらと
一緒に奈良へ吟行に行くことになりました。
最大の目的は法隆寺の探訪。
私にとって法隆寺訪問は高校の修学旅行以来の
ことになります。事前に主宰に薦められて読んだ
西岡常一さんの『木のいのち木のこころ』に深い感銘を受け、
法隆寺への思いが更に高まりました。
 
法隆寺は周囲が田畑の鄙びたところにあって、
その西側は西里と呼ばれ、以前は宮大工が多く
農業を兼業しながら暮らしていたそうです。
 
私たちは法隆寺を午後に訪ね、日の暮れるまで
探索しました。夢殿は金堂の東側にあり、
八角形の特異な形をした伽藍で、中には国宝が
数多く収められています。夢殿の屋根の上には
太陽をかたどったようなとても大きな飾り物が
乗っています。寺の人に尋ねたところ「宝珠」と
言うそうです。同じ形のものを本尊救世観音も
手に頂いているということでした。

夢殿を見学し外に出るとあたりはもう夕暮れ。
法隆寺に名残を惜しみつつ西里を訪ねることに
したのです。その時の景色が挙句の景です。

             IMG_7995.jpg


亘さんは吟行で良い句をたくさん作ります。
豊富な知識を持ち、眼力に優れている
からだと思います。
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