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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

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2016-12-02 (Fri) 20:28

映画のワンシーンのようです。

       都市の一句  (35)
                          高橋 亘

         行商婦終へて釜揚げうどんかな  小林 風

寒い中の行商を終えて一息つき釜揚げうどんを
食べている行商婦である。中年かそれ以上の年齢で
荷物を下ろした姿に安堵感がただよう。
冷えた体にはうどんが温かい。
 
今は少なくなったが、昔は良く見かけた。
大概姉さんかぶりをしており、大きな荷物を
背負っていた。時間がゆっくり流れていた当時の
街の風景であった。

          IMG_3924.jpg

 
家にも常連の行商おばさんが品物の無くなった頃を
見計らって良く来ていた。話好きの人で母親と
世間話などしてゆくのが常であった。
人の付き合いも深く世の中に人情味があった頃で、
便利屋的要素もあり重宝がられていた。
 
今はコンビニやスーパーマーケットが身近にあり、
必要なものは容易に手に入るようになった。
行商も車でやってきて、商売が済めば
さっと帰るスタイルになっている。

                                IMG_2377.jpg

 
そんな時代の移り変わりの中で、この行商婦は、
房総あたりの海辺の町から朝獲れた魚介のたぐいを、
朝早い電車に乗ってやってくる昔ながらの行商を
想像させる。家族連れや若いペアーで賑わっている
店の中で、行商婦の周りには一仕事終えた安心感があり、作者にはそれが見えたのだろう。
切り字の「かな」が、それを想像させる。
 
「行商婦」という題材の面白さから、同じような仕事の
人の句を手元の句集で探してみたが、予想に反し少なく、
金魚売と担ぎ屋の句それに先生の「朝涼」のひよこ売りの一句のみであった。
「行商婦」という日頃見過ごしがちな働く人を
上手に切り取った俳句でした。
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最終更新日 : 2016-12-02

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