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俳句でおしゃべり-都市ー

「都市」での活動や俳句に繋がる文章や会員のエッセイ等の語り場にしていきたいと思います。

Top Page › その他 › 勉強会の担当者による、風生の1句鑑賞です。
2017-03-04 (Sat) 15:57

勉強会の担当者による、風生の1句鑑賞です。

        富安風生の一句鑑賞     
                             髙橋 亘

      よろこべばしきりに落つる木の実かな   富安風生
 
秋も深まったある日、近所の公園かあるいはどこかの庭先だろうか、
樫か椎の高木の下で一休みしていると、石にでも当たったのか
こつんと音がして木の実が足元に転がってきた。
その偶然の面白さを喜んでいたら、その気持ちに応えるように、
もっと木の実が落ちてきたのである。

             DSCF6394.jpg
      

木の実が落ちたのは風のいたずらか自然落下によるものであるが、
「しきりに」と意志がある如くとらえたのは、風生の植物に対する
優れた感性の故だろう。
 
当時の俳人仲間は植物に詳しい富安風生を「植富」と渾名をしていたが、
それは風生の草木や花への深い関心が、
草木や花の声を引き出して上手に詠んだことに起因する

この句もやさしく見たままを表現しているように見えるが、
上五で「よろこべば」とこれから起きる作者の期待感を示し、
中七に「しきりに」と木の実の意志をいれたことがこの句を面白くしている。

仮に「しきりに」の代わりに「のべつ」を使ってみると
「よろこべばのべつに落つる木の実かな」となり、ただ木の実が落ちるのを
作者が喜んでいるだけであるが、「しきりに」とすると、
よろこぶ作者に対しもっとよろこんでもらおうとして
落ちてくる木の実が見えてくる。
これが「植富」と言われる感性ではないか。

                                   IMG_8214.jpg



こつんと落ちてきた最初の木の実が風生の感性の扉を叩いて、
この句が生まれたと解釈したい。

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最終更新日 : 2017-03-04

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