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「都市の1句」も38回となりました。

2017/ 06/ 10
                 
     都市の1句(38回)   俳号はどうなのだろうか?

                           北杜青

わるさんは、「都市」に入会してすぐ、平成25年12月号の次の句で
都市集の三席を占めます。

     石鹸の外周硬し盆の月   吉川  わる 

この句を見たとき、変わったところを詠む人があらわれたなあと
思いました。素材がめずらしいという訳ではなく、
普段、誰もが触れているものや場面のなかで普通の人が立ち止まらない
ところから俳句の素材を引き出しています。

俳句になりえるのか、そこに詩情はあるのかと問いたくなるような
ぎりぎりのところを独特の感性で俳句にしています。
 
わるさんのよさは、その素材の引き出しかただけでなく、
俳句形式のなかでの表現の自由さという面でも群を抜いています。
切字をもちいた伝統的な型から口語表現まで素材にぴったりの形を
無意識に選択しているように感じます。
そして字余りの句をつくることが滅多にありません。
 
わるさんの近作で私が好きな句を挙げます。


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     裸木の大いなる輪を持ちにけり

     コスモスの内に幼き日の翳り

     物思ふ翼ありけりつばくらめ

     数え日や橋への道の上(のぼ)りたる

     寒林の真つ直ぐに前向きにけり


 二句目は、コスモスという季語に新たな観念を加えた
わるさんの代表句だと思います。
 四句目は、なんでもない句なのですが、詠まれている道の傾斜や
歩いている人の感情まで想像したくなる句です。

 巻頭になったり、都市の窓に取り上げられた句は、
他にたくさんあるのですが、素材や機知で驚かすのではなく、
ありふれたところから独特の感性が素直に溢れ出たような、
わるさんの句を愛してやみません。
逆立ちしても私には詠めないと思うのです。
わるさんだけの世界が句のなかで静かに息づいています。

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 わるさんは、宇宙人みたいな人で、いつの間にか「都市」にいて、
すぐに「都市」にとって欠くことのできない俳人になりました。
それは、わるさんの句がほかの誰とも似ていない独特の感性から
生み出され、「都市」の俳句の幅を大きく広げたからだと思います。
 
俳号の付け方も宇宙人で、こればっかりはどうなのだろうかと思います。
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