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釣り師、良さんが釣ったものは、何だったのでしょうか?
2017/ 08/ 03 夜釣りにきた大物
城中良
房総の平砂浦に四人で夜釣りに行ったのです。
暮れ方に海につき、急く気をおさえながら、
ウエダー(防水の胸まで来る長靴)を慌てて着け、
海に立ちこんだのです。
当時のウエダーは材質も悪くそして重く、
うっかり海水でも被ろうものなら、
海水とウエダーの重みで、うっかりすると
海底に沈むと言う怖い代物なのです。

平砂浦はいつ来ても美しく、そして広く遠浅の海なのです。
そこで、少しでも有利な場所へとウエダーを着て、
立ち込んで釣ると言うわけです。
今は、平砂浦の釣りはルアーが主体であろう、
時代の影響です。
釣りには、色々な種類があり、その一つに
ルアー釣り(疑似鉤を用いた釣り)があり、
当時はルアー釣りを嫌っていました。
まずあの釣りの用語が気に入らない、釣れたときヒット、
糸はライン、竿はロッド、仕掛けはタックル、擬似餌はルアー。
そして、釣り人の恰好は、いつもお洒落で完璧な外国の
アングラー気どりなのです。汚い恰好の磯釣り師には
(今は違うらしいが)、ことごとく気に入らないのです。
ルアーが嫌いでも疑似餌のかたちは美しい、ミノーの美しさに負け、
二個ほどこっそり買い込んだほどです。
平砂浦に行く途中の釣り具屋さんで泥鰌を仕入れ
こいつを餌に平目、鯒を釣ろうと言う訳なのです。
暗くなった平砂浦の波がところどころで白くゆったりとくずれる、
四人は互いに勝手に好きな場所に散り時々ヘッドランプの光が見え、
あの辺に居るのだと、場所を確認できるのです。
穏やかな波の白く崩れ落ちたところに暗礁があり、
そこが一つのポイントになるのです。そこを目掛けて竿を振り、
ゆっくりリールを巻いて引いてくるのです。一時間位やっても、
少しも当たりがない。場所を、変えない方なので、夜の波を
見ながら竿を振りつづける。ヘッドランプが近づいて来て、
当たりはあるかと聞く、こちらは全然なしと言い竿を振る、
彼が立ち去ろうとしたときガツンと強烈な当たりがくる、
「来た!」叫んでリールを巻こうとしたが、
リールが巻けない、しばらくするとリールが少し負けてきた、
いったい何が来たのだ、重たいのだ、竿もリールも重い、
平目ではない、いったい何が来たのだ。
また二度めの強烈な引きがくる、竿で懸命に耐える、
リールを巻きながら浜の方に体を移動して行く、
重いがリールが巻ける、何を掛けたのか、見当がつかない、
ヘッドランプをつける余裕がない。重い割にリールが巻ける、
何が現れるのかヘッドランプのスイッチをひねる、
もう足元の深さ七〇センチの深さに来ている、
次第に姿が見えてきたのです。

驚いた鮫だ。一メートル近くある鮫がゆっくりと近づいてくる。
がっちり鉤がかっかており、でも、少しも暴れず
ヘッドライトにてらされた足元に静かにしているのです。
こんな近くで生きている鮫を見るのは初めてだ、
生きている魚は何時も美しい。海に帰そうと思い、
危険と知りつつ素手で鉤をはずしたのです。
鮫は浅い海の砂地にゆっくりと魚体をまわし、
まるで何事も無かったように暗い海にもどって行ったのです。
城中良
房総の平砂浦に四人で夜釣りに行ったのです。
暮れ方に海につき、急く気をおさえながら、
ウエダー(防水の胸まで来る長靴)を慌てて着け、
海に立ちこんだのです。
当時のウエダーは材質も悪くそして重く、
うっかり海水でも被ろうものなら、
海水とウエダーの重みで、うっかりすると
海底に沈むと言う怖い代物なのです。

平砂浦はいつ来ても美しく、そして広く遠浅の海なのです。
そこで、少しでも有利な場所へとウエダーを着て、
立ち込んで釣ると言うわけです。
今は、平砂浦の釣りはルアーが主体であろう、
時代の影響です。
釣りには、色々な種類があり、その一つに
ルアー釣り(疑似鉤を用いた釣り)があり、
当時はルアー釣りを嫌っていました。
まずあの釣りの用語が気に入らない、釣れたときヒット、
糸はライン、竿はロッド、仕掛けはタックル、擬似餌はルアー。
そして、釣り人の恰好は、いつもお洒落で完璧な外国の
アングラー気どりなのです。汚い恰好の磯釣り師には
(今は違うらしいが)、ことごとく気に入らないのです。
ルアーが嫌いでも疑似餌のかたちは美しい、ミノーの美しさに負け、
二個ほどこっそり買い込んだほどです。
平砂浦に行く途中の釣り具屋さんで泥鰌を仕入れ
こいつを餌に平目、鯒を釣ろうと言う訳なのです。
暗くなった平砂浦の波がところどころで白くゆったりとくずれる、
四人は互いに勝手に好きな場所に散り時々ヘッドランプの光が見え、
あの辺に居るのだと、場所を確認できるのです。
穏やかな波の白く崩れ落ちたところに暗礁があり、
そこが一つのポイントになるのです。そこを目掛けて竿を振り、
ゆっくりリールを巻いて引いてくるのです。一時間位やっても、
少しも当たりがない。場所を、変えない方なので、夜の波を
見ながら竿を振りつづける。ヘッドランプが近づいて来て、
当たりはあるかと聞く、こちらは全然なしと言い竿を振る、
彼が立ち去ろうとしたときガツンと強烈な当たりがくる、
「来た!」叫んでリールを巻こうとしたが、
リールが巻けない、しばらくするとリールが少し負けてきた、
いったい何が来たのだ、重たいのだ、竿もリールも重い、
平目ではない、いったい何が来たのだ。
また二度めの強烈な引きがくる、竿で懸命に耐える、
リールを巻きながら浜の方に体を移動して行く、
重いがリールが巻ける、何を掛けたのか、見当がつかない、
ヘッドランプをつける余裕がない。重い割にリールが巻ける、
何が現れるのかヘッドランプのスイッチをひねる、
もう足元の深さ七〇センチの深さに来ている、
次第に姿が見えてきたのです。

驚いた鮫だ。一メートル近くある鮫がゆっくりと近づいてくる。
がっちり鉤がかっかており、でも、少しも暴れず
ヘッドライトにてらされた足元に静かにしているのです。
こんな近くで生きている鮫を見るのは初めてだ、
生きている魚は何時も美しい。海に帰そうと思い、
危険と知りつつ素手で鉤をはずしたのです。
鮫は浅い海の砂地にゆっくりと魚体をまわし、
まるで何事も無かったように暗い海にもどって行ったのです。
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