俳句でおしゃべり-都市ー

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関山恵一さんによる、主宰(都市八月号)の俳句の臨場感溢れる解説です!!

「都市」八月号 中西夕紀主宰作品鑑賞   


関山恵一(春野同人)
  
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 沈めあるペットボトルや子供の日
 
ペットボトルを沈めたのは、水の中では浮いて来てしまうだろうから、
おそらく砂の中だと思う。砂浜ではなく公園の砂場かも知れない。
子供の日の夕方、子供たちが帰った後の砂場にペットボトルが首を出している。
作者の胸には、残されたペットボトルから子供たちの笑い声や
笑顔が聞こえてくる。微笑ましい句。

   
死の前に若やぐ人や桐の花 

癌を宣告された人であろう。最近では癌を告知するのが普通になっている。
癌という病気は死の直前まで元気に振舞うことが出来る。
山に登る人はやまに、音楽をする人は音楽を、俳人は俳句を。
残されたいのちをどのように過ごすか、その本人が決める。
作者の知人は、若返ったように元気に日常生活を送っている。
「病気になってからの方が元気になられ、むしろ若返ったよう…」。
「桐の花」の斡旋が素晴らしい。

   
墓に来て泣いてゐるなり草蛍 

墓に来て泣いているのは作者であろう。
草蛍は古く中国で夏季に腐った草が、暑さに蒸れて蛍となったとされている.
はかない命をかがやかせる蛍。親しい人の墓参りに来た作者、
小さな蛍が墓に植えられた気にとまっているのに気付き、
「あ、この蛍も泣きに来てくれたのだ…」と心を打つ
「鳴く」ではなく、あえて「泣く」を使ったところに作者の気持ちが表れている。

   
ビル一面雲のひろごる祭かな 

祭の日、素晴らしい夏空。東京が江戸になる祭の日、
わっせー、わっせーと力強い声が響いてくる。
ふと、目の前のビルの大きな窓に大きな峯雲が映っている。
祭の掛け声とともにだんだんひろがってゆく夏の雲。
近代的なビルも江戸の建物になって共に祭を楽しんでいる。

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鯛ほぐし大骨小骨南風 

鯛はなかなかに骨の多い魚である。ただ、鯛の骨は比較的大きいので取りやすい。
ほぐしていると、「鯛の鯛」と言われるものを探すのも一興である。
魚が胸鰭を支えたり動かしたりする際に使う骨の俗称で、
魚の肩甲骨と烏口骨の部分をそう呼びます。
なぜそのように呼ばれるかは、その骨の形が魚の形をしているから。
これを洗って財布の中に入れるとお金が貯まると言われている。

   
水中に光走れり箱眼鏡 

箱眼鏡は箱の底に凸レンズをはめ、水の中を除くと水中がはっきり見え、
魚や貝を捕るのに使う。この場合は作者が小さな箱メガネを使って
水の中を除いているのであろう。水の上からと違って
美しい水中の景色が広がる。きらり、きらりと光るものは,
おそらく水中を走る魚であろう。
目の前を光らせて過る魚に作者は感動、驚きを隠せない。
 
             
                          
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