俳句でおしゃべり-都市ー

ARTICLE PAGE

切り口の新鮮な句を詠む悠歩さんの句を、順子さんが読み解きます。

          順子さん都市の一句俳句鑑賞    
                                大矢知順子

            嘘に嘘かさねしことも曼殊沙華      原 悠歩

                      DSCF0246.jpg


「自分の句で、一番好きな句ってある?」この稿に当たって、悠歩さんに 
聞いてみた。その時、「景が見えない句だけど…」云いつつ、掲げて下さったのが、この句であった。

私が悠歩さんに出会った最初の句は

     数珠玉や指切りげんまんまたあした (2014年)

なんとも愛らしい、素直な句だと思った。
幼い雰囲気を巧みに詠みこなす悠歩さんに興味を持っていた。
句会前のちょっとした挨拶にも、いつもこのイメージを称えていた。

その1年後、上掲の『 嘘に嘘かさねしことも曼殊沙華 』の句に
出合ったことは記憶に残っている。
実は、私はこういう句が大好きなのであるが、景の見えない句と、
できる限り遠ざけてきた作風であった。
その句を、一番好きよ、といったことに少々戸惑った。

この時、こう詠まざるを得ない何かがあったのかも知れない。
具体的には表せない何だろう。そういう句があっても
仕方がないと私は思う。ただ、「読解は、読者の経験に任せる」という
覚悟のもとで作るならば。

その後

     牡丹の芽じゃんけんに児はいつも石

     あかぎれの子はイクメンと呼ばれをり

     草餅や叱られし子の百面相


など、悠歩さん特有の着眼と、悠歩さん独特の作風の句がとび込み、
愉しく読ませていただいている。

                     DSCF0214.jpg


去年7月、小諸の日盛句会に同伴した。
「初めてなのでよろしくね」といつも謙虚な悠歩さんである。
が、半日早く小諸に着かれたわずかな間に、
現地サーチをしっかりしていられ、後着の私は、
当を得た案内に随分援けられた。

登山が趣味の悠歩さん、地図の見方、探求心に加え、
健脚であった。いつも多面性を見せてくれる。
俳友として楽しく、心強い存在である。

ちなみに、昨今のニュースを見ていると、
『嘘に嘘かさねしことも曼殊沙華』が、具象性をもって
テレビ画面に現れてくる。不思議な句である。
                           
スポンサーサイト

0 Comments

Post a comment