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都市10周年記念俳句大会特選句の自句自解をしていただきました。

2017/ 12/ 01
                 
11月3日「都市10周年記念大会」は無事に終わることができました。
危ぶまれましたお天気にも恵まれ、色々な形での都市会員の皆様のご協力
深く、深く、感謝しております。

実行委員長の夏斗さんを中心に、イベント部は去年の春以来
会場探しを始めました。大会近くになるとリハーサルをやったりしましたが、
大会間際になるとメンバーは、慣れないことを抱え、
胃痛の人、眩暈の人、腰痛の人が出る始末でした。

色々と、反省するべき点があると存じますが、我々実行メンバーでは、
見落としている点も多いと思います。
そこで、忌憚のないご意見を頂きたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。


都市10周年俳句大会での特選の方々に、自句自解をお願いしました。
原稿を頂きました順にご紹介させて頂きます。。
      
    風なでて生きもの臭や蘆茂る       原 悠歩   ( 主宰特選句)
  
土手を生活道路としてよく行き来する。駅へ行くのも買い物にも近道なのだ。
川には青鷺に白鷺そして鴨、亀に蝦蟇のほか鰻、中州では狸の死骸まであった。
鯉はひしめくほどだ。うす暗くなるころ蝙蝠が飛び、夜更けには奇妙な
鷺や蝦蟇の鳴き声を聞く。

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川沿いでは翡翠、赤腹、海鵜、尾長、尉鶲や小啄木鳥、そして蜻蛉が
湧いたように風に流れるなど季節ごとに変化があっておもしろい。

7月、小さく決してきれいとはいえないこの川幅いっぱいに蘆が茂る。
吹き渡る風のかたちに蘆がなびく様子は毛足の長い動物の背を
風がなでているようにも見え、爽やかでとても心地よいものだった。

元の句は「風なでて獣のにほひ蘆茂る」だったが景の広がりや深みがでればと
獣だけでなく生きもの全体としてとらえこの句に直した。
蘆は水の浄化に役立っているらしく川や川辺は生きものが意外に多い。

     
   去来塚辿り着く間の初時雨        中島てつを
                   ( 特別選者 有也氏の特選句)


京都の落柿舎を訪ねた折り、近くの去来の墓に参りました。

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丁度立冬の頃で、周囲にはまだ紅葉も残り今にも降りそうな空模様で
嵯峨野の小径を辿るころには径沿いの木々にぱらぱらと雨のあたる音、
あ、時雨だ!と思いながらが、やがて弘源寺の墓地の中に
「去来塚百人一句句碑」に囲まれて一坪ほどの竹囲いの中に
三十センチほどの自然石に「去来」とのみ刻んだ素朴な塚で
周囲は苔むし、金福寺の蕪村の墓と比べると、
何と侘びた風情のある雰囲気かとしばし見入っていました。

去来と言えば凡兆と編んだ「猿蓑」の冬の部の時雨十三句が浮かび、
巻頭は芭蕉の「初しぐれ猿も小蓑をほしげ也」から始まり
十三句目に去来の「いそがしや沖の時雨の真帆片帆」に思いがいたり、
京都には時雨が似会うなと思いつつ去来塚を去るころには
雨は止んでいました。


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   地を掠む飛燕の群に行きあぐむ   平澤ひなこ  (主宰特選)

初心者の句会の「歩み句会」から「ざぼん句会」に移って間も無く、
俳句を初めて一年たった四月末、初心者仲間の小杉月夜さんに
「大好きな場所なの」と案内してもらった渋沢丘陵。
そこには、地平線まで続く菜の花畑、馬二頭いる牧場、
耕された畑地が広がっていた。

             DSCF8430.jpg


畑地を中心に周辺には、燕の大群が飛び交っていた。
畑土に片翼を掠めて、菜の花の上をすれすれに低空飛行をしている。
スピードがあるのにみていてもぶつかる心配も無く鮮やかな
飛翔である。

私は初めて目にした燕の群れの飛翔のさまの荘厳さに、
ちっぽけな人間の私が畑の一本道を用もなく歩むのが憚られ、
声も無く立ち尽くしていた。
この感動が句になり、この時二句できた内の一句に特選を
頂いた。 

  
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