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好奇心旺盛な心さん!今回は能のワークッショップに参加されました!

2010/ 04/ 15
                 
狐

能楽体験記
                栗山 心



能すみし面の衰へ暮の秋  高浜 虚子

チチポポと鼓打たうよ花月夜 松本 たかし

永き日の「羽衣」舞いおさめける 桂 信子



などの句に出会った時感じた、居心地の悪さ。
何故なら、能というものを全く知らないから、
理解出来ないのです。
自分の知識がないから、正しい鑑賞が出来ないのが
悔しい思っていた時、地元の若手能楽師さんたちが、
「能楽連続体験講座」というのを開くことを知りました。

ワークショップ、と銘打っているだけあって、
まずは能の歴史をさらりと勉強した後は、実際に、
謡や舞を体験し、能管や小鼓の体験も。

優雅な見た目とは裏腹に、まるでスクワットのような
体勢で行う舞や、腹式呼吸の謡、まったく音が出ず、
最後には息を吐きすぎて目が回った能管。
楽しげにやっている小学生を横目に、頭も体も固い
大人たちはあたふた。

松本たかしの句の「チチポポ」が、擬音ではなく、
小鼓の音色を表している、と知った時の驚きは、
かなりのものでした。

ちなみに、ド素人でも、なんとなく様になりそうに
思えるのが、小鼓。「イヨ~」「ハァ~」などと
声を出すのも気持ちの良いものです。

先日の体験講座では、能楽堂の舞台に上がる、という
経験もしました。
白足袋を履いて橋掛りをソロリソロリと歩くと、
背筋の伸びる心地よい緊張感がありました。

二回目の講座の最終回は、矢来能楽堂において、
能「熊野」の見学でした。
花見の牛車が、簡素な竹細工のアーチ状のものであったり、
お面を被っている人といない人が同じ空間にいたり、
長旅をその辺を一周りすることで表したりと、
最初は能の約束事に戸惑う点も多かったのですが、
いつしか、熊野の悲しみに同調している自分がいました。

俳句と能の共通点について虚子は、
「写生に遠いやうで能も狂言も写生です。写生の極意です。」
と、言っています。(『俳句への道』)

極限まで余分なものを削ぎ落とした能と、短い詩形ゆえに、
簡潔に言わざるを得ず、鑑賞を相手の想像力に委ねる
俳句とは、確かに良く似ているかもしれません。


(参考図書 角川学芸出版「高浜虚子の世界」)
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