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直子さんが、純さんの句を読み解きます。
2018/ 03/ 22 都市の1句(43)
石黒直子
純さんの作品に出合ったのはつい最近、はじめは随分上手な方が都市に入ってこられたという印象でした。
そのうち何度か句会をご一緒して、俳句の道を究められた方という感じを持ったのです。
うしろ手に障子をしめて春灯

うしろ手に閉めた障子、何かわくわく心弾む思いが伝わるのは、春灯という季語から
艶な感じを受けるのです。季語の持つ明るさ、華やぎなど濃艶な時間が過ぎたことでしょう。
追伸のやうに夕暮れの白蝶
一日のおわり、夕暮れの白蝶とは。それは日暮れを惜しむかのように白蝶が現れた。
その日の大切なことが、白蝶の現れで再び深く心に残る一日であった。白蝶に詩情があります。
主宰は折にふれ「俳句は詩です」と言われている。夕暮れの白蝶に感動しました。
蛇の目の少女のやうな目をしたる
この蛇は艶やかで少し小さかったのかも知れません。その目はキラキラ輝き、無垢の目に
作者は感動したのでしょう。純さんの柔軟な心がとらえた一コマ。
さびしさとは書かず卯月の雨と書く

卯月の雨とは陰暦四月に降る雨、菜の花腐しの頃でしょうか、しとしと降る五月の長雨は心まで
濡れてしまいそうで、寂しさを誘う。それを「卯月の雨」と書かれた。作者はそっと季語を差し出した。
そこはかと感じる憂いを、作者の気持ちを、言葉で表しておられます。そして多くを語らず、
読み手にゆだねられている、俳句のお手本と思いました。人生の深さを感じました。
純さんの句はじっと読んでいると、奥が深く滲み出てくるものがあります。
「言いさして」後は読み手に任せる。純さんの作品は色々想像ができ味わう楽しみがあるのです。
歳月を重ねてこられた方の豊穣を感じます。きっと時を経て読めば、また違った感慨を持つかも知れません。
ありがとうございました。
石黒直子
純さんの作品に出合ったのはつい最近、はじめは随分上手な方が都市に入ってこられたという印象でした。
そのうち何度か句会をご一緒して、俳句の道を究められた方という感じを持ったのです。
うしろ手に障子をしめて春灯

うしろ手に閉めた障子、何かわくわく心弾む思いが伝わるのは、春灯という季語から
艶な感じを受けるのです。季語の持つ明るさ、華やぎなど濃艶な時間が過ぎたことでしょう。
追伸のやうに夕暮れの白蝶
一日のおわり、夕暮れの白蝶とは。それは日暮れを惜しむかのように白蝶が現れた。
その日の大切なことが、白蝶の現れで再び深く心に残る一日であった。白蝶に詩情があります。
主宰は折にふれ「俳句は詩です」と言われている。夕暮れの白蝶に感動しました。
蛇の目の少女のやうな目をしたる
この蛇は艶やかで少し小さかったのかも知れません。その目はキラキラ輝き、無垢の目に
作者は感動したのでしょう。純さんの柔軟な心がとらえた一コマ。
さびしさとは書かず卯月の雨と書く

卯月の雨とは陰暦四月に降る雨、菜の花腐しの頃でしょうか、しとしと降る五月の長雨は心まで
濡れてしまいそうで、寂しさを誘う。それを「卯月の雨」と書かれた。作者はそっと季語を差し出した。
そこはかと感じる憂いを、作者の気持ちを、言葉で表しておられます。そして多くを語らず、
読み手にゆだねられている、俳句のお手本と思いました。人生の深さを感じました。
純さんの句はじっと読んでいると、奥が深く滲み出てくるものがあります。
「言いさして」後は読み手に任せる。純さんの作品は色々想像ができ味わう楽しみがあるのです。
歳月を重ねてこられた方の豊穣を感じます。きっと時を経て読めば、また違った感慨を持つかも知れません。
ありがとうございました。
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