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勉強会で、高屋窓秋の担当の遊妹さんが窓秋の1句を読み解きました。

2018/ 04/ 28
                 
          高屋窓秋の一句
                              島田遊妹
         
         ちるさくら海あをければ海にちる
 
 水原秋櫻子の「馬酔木」に発した新興俳句運動の中の先駆者の一人として
高屋窓秋はあげられる。それまでの俳句という枠組には収まらない新しい
表現法を試みた人である。「言葉が言葉を生み、文字が文字を呼ぶ」と自ら
百句自註の中に書いている。
 
明治四十三年に陸軍軍人を父として名古屋に生まれその後、東京の渋谷、
熊本と父の転勤に伴って移り住んだ。その熊本で中学もおわりの頃、
友人に誘われて「ホトトギス」派の句会へ出席したことが俳句への第一歩。
水原秋櫻子の第一著書「南風」とも出会い、「その後秋櫻子に師事するに至る
機縁となった」と本人が書いている。

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 さくらの花は、花の中の花、日本を代表する物と言えよう。画家も、歌人も
俳人も挙って描いたり詠んだりしている。咲いている時は勿論、散る様まで
数多く表現されているのはさくらぐらいではなかろうか。
この句で注目する点は、花びらを海に散らせたことだろう。
川の堤にあるさくらならば川の水に落ちるのだが。窓秋の頭の中で考えられた
情景であるし実体のないものではあるが、さくらにも意志があって海を選んで
散っているかのようにも受け取れる。海の青の中にさくらの花びらが散っていく様を
想像したら、なんとも美しい抽象画のような世界が見えてくる。

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 他の俳句を読んでもそう思えるのだが、窓秋は俳句で絵を描いているように
思えてならない。多少現実と違うものであったとしても、美しい絵が私には、
はっきりと見えてくる気がするのである。

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