Article
新吟行部長の菜園さんの吟行記です。新人けいこさんの登場です。
2018/ 05/ 08 つ く し 野 吟 行 記 (4月)
金子菜園
「都市」の吟行としては3年ぶりのつくし野界隈となったが、生憎、今年の
桜は例年よりⅠ週間ほど早まり、何処も花の盛りは過ぎていた。
出発前、主宰からは、桜に関連する季語として残花,落花、桜蘂降る、
八重桜等の例が示された。
つくし野の街は、町田市の最南端に位置し、都心や横浜に近く、
小田急江ノ島線で湘南方面にも便利な、落ち着いた静かな街並みを
形成している所である。家々には、芽吹き始めた木々や、
今を盛りの花も見られ句材には事欠かない地である。
早くも鉛筆と手帳を手に俳句モードになっている方もいた。
住 み 古 り て 薔 薇 の 家 と ぞ な り に け り (梢)
つくし野の街も、開発以来数十年の月日が流れ、終の棲家となるのでしょう。
街路には桜が植えられ、今は正に“桜蘂ふる”季節となり、手に取って観察を
している方も見受けられた。
桜 蘂 踏 み し め て 行 く 朝 の 道 (ちひろ)
テ ラ ス 席 白 布 に 桜 し べ 降 り ぬ (悠 歩)
途中の空き地には、虎杖(いたどり)を見つけて、居合わせた人と
口に含んでみたが、一同に“酸っぱい”と顔をしかめていた。
投句の結果もやはり酸っぱい味であった。
終戦直後の“ひもじい思い出”の味でもあった。
住宅街を少し進むと、小高い丘を持つ殿山公園が見えてきた。
入口付近には、湧き水による小さな池に、蝌蚪の群れが泳ぎ、
町中とも思えぬ景が見られた。
急な坂道を上ると、丘の上には櫟や小楢の大木が生い茂り、
折からの春疾風に大きく揺れていた。
亭 亭 と 芽 吹 き 小 楢 の 空 透 か す (夕 紀)

丘を下るとそこは春の花の宝庫であった。“花の名は良さんに聞け”とばかりに
沢山教わったが肝心の句が詠めなかった。
殿山公園から少し歩くと南成瀬中学校へ出た。グランドでは、
少年たちが野球をやっていた。
打 球 快 音 桜 蘂 降 る ベ ン チ の 子 (有也)
ベンチの子は、控え選手だったのだろうか。「桜蘂降る」の季語とベンチの子
との取り合わせは、想像を掻き立てる景である。
中学校を後に少し歩くと恩田川の堤へ出た。桜は大分散っていたが、
水面に伸びた見事な枝振りと花筏は、また違った趣を魅せてくれた。

川 面 這 ふ 枝 の 先 々 残 花 か な (月 夜)
今回の吟行は、総合体育館前のイベント広場がゴールとなった。
丁度、昼食時になり仲間の皆さんとテーブルを囲んだ。
隣には揚げたてのコロッケを売る店が有り昼食の友となった。
手 渡 し の コ ロ ッ ケ ひ と つ 桜 狩 (けいこ)
金子菜園
「都市」の吟行としては3年ぶりのつくし野界隈となったが、生憎、今年の
桜は例年よりⅠ週間ほど早まり、何処も花の盛りは過ぎていた。
出発前、主宰からは、桜に関連する季語として残花,落花、桜蘂降る、
八重桜等の例が示された。
つくし野の街は、町田市の最南端に位置し、都心や横浜に近く、
小田急江ノ島線で湘南方面にも便利な、落ち着いた静かな街並みを
形成している所である。家々には、芽吹き始めた木々や、
今を盛りの花も見られ句材には事欠かない地である。
早くも鉛筆と手帳を手に俳句モードになっている方もいた。
住 み 古 り て 薔 薇 の 家 と ぞ な り に け り (梢)
つくし野の街も、開発以来数十年の月日が流れ、終の棲家となるのでしょう。
街路には桜が植えられ、今は正に“桜蘂ふる”季節となり、手に取って観察を
している方も見受けられた。
桜 蘂 踏 み し め て 行 く 朝 の 道 (ちひろ)
テ ラ ス 席 白 布 に 桜 し べ 降 り ぬ (悠 歩)
途中の空き地には、虎杖(いたどり)を見つけて、居合わせた人と
口に含んでみたが、一同に“酸っぱい”と顔をしかめていた。
投句の結果もやはり酸っぱい味であった。
終戦直後の“ひもじい思い出”の味でもあった。
住宅街を少し進むと、小高い丘を持つ殿山公園が見えてきた。
入口付近には、湧き水による小さな池に、蝌蚪の群れが泳ぎ、
町中とも思えぬ景が見られた。
急な坂道を上ると、丘の上には櫟や小楢の大木が生い茂り、
折からの春疾風に大きく揺れていた。
亭 亭 と 芽 吹 き 小 楢 の 空 透 か す (夕 紀)

丘を下るとそこは春の花の宝庫であった。“花の名は良さんに聞け”とばかりに
沢山教わったが肝心の句が詠めなかった。
殿山公園から少し歩くと南成瀬中学校へ出た。グランドでは、
少年たちが野球をやっていた。
打 球 快 音 桜 蘂 降 る ベ ン チ の 子 (有也)
ベンチの子は、控え選手だったのだろうか。「桜蘂降る」の季語とベンチの子
との取り合わせは、想像を掻き立てる景である。
中学校を後に少し歩くと恩田川の堤へ出た。桜は大分散っていたが、
水面に伸びた見事な枝振りと花筏は、また違った趣を魅せてくれた。

川 面 這 ふ 枝 の 先 々 残 花 か な (月 夜)
今回の吟行は、総合体育館前のイベント広場がゴールとなった。
丁度、昼食時になり仲間の皆さんとテーブルを囲んだ。
隣には揚げたてのコロッケを売る店が有り昼食の友となった。
手 渡 し の コ ロ ッ ケ ひ と つ 桜 狩 (けいこ)
スポンサーサイト
コメント