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しらすパスタと俳句の取り合わせ。そして光香さんの決心とは、、
2010/ 05/ 02
しらすパスタ 高木光香
知り合いの若い奥さんとランチをした。
鵠沼海岸駅で待ち合わせた。
どこに行くのかなと思ったら、
私にではなくバギーに乗っている自分の子に
何が食べたいかと聞いた。
そうしたら、まだ喋れない子が「パタタ」と
言ったので私はちょっと驚いた。
今の時代スパゲッテイという言葉は
もうなくなってしまったのか。
海の見えるレストランで、しらすパスタに
したので私も同じにした。
それがテーブルに置かれたら、若い奥さんは、
自分のかばんからプラスチックの鋏を出して、
パスタをチョキチョキ切って子供に与えた。
私はとてもびっくりしたが、黙っていた。
子供は手でむしゃむしゃとこぼしながら
嬉しそうに食べた。
私は自分の分をしっかり黙って食べた。
若い奥さんは気持ちの良い人で、私に
最近体調はどうかと気遣ってくれた。
鵠沼海岸駅で別れたが、若い奥さんは軽やかに
バギーの向きを変え彼女の家に帰って行った。
白蝶々飛び去り何か失ひし 細見綾子
帰りの小田急電車の中で思った。
若い奥さんにはもうすでに彼女の世界があり、
家族がいる。そしてこれからは彼女自身の人生が
広がっていくのだ。
私には私の後半生が細い筋ながらあるはず。
道は違って当たり前なのだと。
私はさびしくなった。なぜかわからないけど。
これが春愁というのかしらん。
縁とは絆とは春の愁かな 富安風生
こんな時、季語を考える私って素晴らしい・・・
よしよし、元気になってきた。
この春の日に、私には良い意味での
踏ん切りがついた。私は私の道を行く。
意外な時に本当の発見があるものだ。
これからは、人のためではなく私のための、
私自身を生きて行こう。
まずはあの紺色の春のコートを買って・・・
なんだか楽しくなりそうだ。
そう思える私は幸せだと思うのだった。
チューリップ喜びだけをもっている 細見綾子
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