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久しぶりに燐さんが書いています!

2018/ 06/ 11
会員の俳句
                 
              都市の1句(43)
                         本多燐
      
     枯木道行き着くところ版画展      安藤風林 

 この枯木道は真っすぐなのか曲がりくねっているのか、いずれにしろ
距離があることを想起させるのは、行き着くところという表現による。
そして行き着くところにある版画展が銅版画、例えばエッチングのいろいろの黒を使った
小品の展観を想起させるのは、冒頭の枯木という季語による。
そしてその枯木道の全く枯を極めた大樹が細かい無数の枝々を空に向って広げる姿は、
銅版画に刻み込まれた美しい線の数々を想起することで、互いにイメージを増幅させている。

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また行き着くところという表現には、枯木道の枯木の姿に至る季節の移ろいやその高さ、
銅版画の線描が刻みこまれ腐蝕される緻密な工程とその深さ、
そして作者自身の歩んできた道のりの時間と空間が暗示されている。

 十七文字を棒のように上から下へスッキリと読み切らせる切れ味も俳句の
魅力だが、たった十七文字を行ったり来たりしながら、それらの言葉の持つ
イメージを重ね合わせていくのもまた俳句の魅力である。ただ前者にしろ
後者にしろ言葉をゴテゴテと飾り立てていては、それは叶わない。

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 安藤風林さんの句は日頃から句柄がさっぱりとしていて、特にその素軽い
俳味はこの頃では得がたい古風なものと思っていたが、今回あらためて
風林さんの句を味わうと、俳味というよりむしろモダンなアレゴリー=寓意を
嫌味なく表現することに長けた俳人であることがわかり、
ますます私のお気に入りの作家となったのであった。
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