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10月吟行は、お江戸の風情の残る佃島でした。

2018/ 10/ 27
                 
      10月佃島月島吟行
                          森有也
 


台風25号の影響で九州、東北には暴風雨や豪雨が襲っているというのに、
ひとり関東だけはピーカンの秋空。集合時間10時を待って
深い地下鉄から月島の町に登り出れば、埋立地特有の広い通りと
高層マンションに迎えられた。

埋め立ての基となった佃島は家康の連れ来る33名の
大阪佃村の漁民という。爾来江戸城に魚介類を納め、
将軍はもとより大奥の女房方を喜ばせたらしい。
 
                川端


その佃島に江戸の名残を見つけ、なんとか俳句に詠もうと
「都市」の会員達は、僅かに残った船溜まりの釣り人に話しかけては
鰡の子を散らし、住吉神社では七五三の写真撮影を邪魔して
隅田川の畔へと出た。高層マンションは秋日差しの中、
その影を川の流れにたゆたせている。

                   地蔵尊


今をときめくマスコミの兆児が高層階から降り来たりて、
一介の老人としてその影を河畔に落としていくのに出会う。
佃島にきたら佃煮だと、一人が買えば我も我もと争って、
日頃一円の違いにもチラシの隅々まで目を通す人達が、
値段に構わずに二つ三つと買ってゆく。中でも蝗の佃煮は高価であったが、
信州育ちの仲間の一人はその懐かしさに、どんなに美味しかったかと
語りかける。

                  佃島

 
月島に戻れば、もんじゃ焼通りは多言語通り。
異国の観光客が行きかって、もんじゃ焼き屋は満員の盛況。
そのもんじゃ焼通りを月島駅に向かってゆけば、再開発に
取り残されたような小さなビルの今日の句会場、佃会館に着く。

                                    交番
                   (警視庁最古の現役交番)
 
主宰を含めて30名の参加。 午後1時に6句の出句。い
つもは公園中心の吟行だが、今日はさすがに江戸の名残のある町で
バラエティーに富んだ句が多く見られた。
 
     集合に一番乗りや素十の忌 冬青

     鯊釣や運河の跡の水溜り         夏斗

     岸釣の桶ふみ台に佃の子         詩

     鯊釣や男の帽の目深くて         真咲
 
     迷ひてもポストに住所草の花       たまご

     月島や軽四輪に芋焼く火          有也
 

句会後はもちろんもんじゃ焼き屋にしけ込んで、
大いに気炎を揚げたのはいつもの通りである。
主宰が所用で懇親および反省会を欠席されたのは残念なことであった。


 

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