露山さんが、新人の句を講評してくださいました!!

都市の一句(45) 金野 露山

夏草や腰を痛めて負戦  茂呂詩江奈


作者の顔が浮かぶ場合は書きやすいかもしれないが、遠慮がちになる。
逆の場合、プレッシャーはないものの、的外れになる危険がつきまとう。

作者は未知の人であることをお断りしておく。掲句は都市8月号から引いた。
最初は3句目の〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉に食指が動いたが、
ご本人を知らずして書くのは無理があるため断念した。

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「夏草」と言えば、芭蕉の〈夏草や兵共がゆめの跡〉が何といっても“鉄板ネタ”だろう。
当方など〈夏草や〉の措辞を使いたくとも端から腰が引けてしまうが、
同じ土俵で勝負しようという掲句は心意気がいい。

キラキラ


黙々と庭の草取りをしていたが、乾き切った地面にしっかり根を張った
夏の雑草にてこずり、とうとう投げ出してしまった。句意は平易だ。
立ったり座ったり、慣れない仕事で腰はパンパンに張った。
忌々しい限りだがギブアップせざるを得ない。
下5の「負戦」で諧謔味が増幅された。

ざっそう2


詩江奈という名前は都市6月号以前にないからニューフェイスとお見受けした。
〈稲妻を借りてやうやう適ふ恋〉には、橋本多佳子の〈雄鹿の前吾もあらあらしき息す〉や、
桂信子の〈ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜〉に通じるものがある。
ひょっとしたら〈夏草や〉は芭蕉のパロディーなのでは、とも思ってしまう。
現在の「都市」会員には見られない作風にこれからも注目していきたい。
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