今年の1泊吟行は、西湖周辺でした。
2018/12/07 富士山麓一泊吟行記(第一日目)
秋澤夏斗
11月11日朝8時に、主宰をはじめ27名の会員が海老名駅に集合。
今年は近年世界遺産となった富士山麓を吟行する。
バスは圏央道周りで中央道へ。海老名からすぐ高速道に入り、
圏央道・中央道を経て富士吉田まで。
富士を背景に富士ハイランドの遊園地。今日は日曜とあって賑わっていた。
冬天や鉄の聳ゆる遊園地 遊美
ここから先は一般道。バスは赤や黄に色づいた紅葉を潜り抜け、
富士五湖の中で2番目に小さい西湖を目指す。
秋雲や今日いくたびの富士の峰 有也
最初の吟行地は茅葺21棟の集まる「いやしの里根場」。
かっては兜造りで栄えた集落であったが、昭和41年の台風被害で
1軒を残し、すべてが土石流に呑み込まれたという。
現在はかっての姿が復元され観光地となっている。
集落の背後には今が見頃の紅葉谷、正面には冠雪の富士。
雄大な自然に囲まれた家屋が玩具のように思える。
干し柿や篠竹香るかごを売り 詩
軒に吊る玉蜀黍に湖の風 亘
日だまりの茅葺屋根の帰り花 風
各自ばらばらになって吟行した後、入り口近くの茅葺に集合して昼食。
地元名物のほうとう鍋と小豆飯のセットにみんな満足。
はうたうの南瓜ほつこり冬木立 冬青
午後は再びバスに乗り、西湖の南側に広がる樹海の中を富岳風穴目指して
小一時間ほど散策する。樹海はとても明るかった。
台地が熔岩より構成されるため、水が乏しく根付きも悪く、木は大きくなると
支えきれずに倒れてしまう。樹木の種類も少なく、米栂、水楢、檜、松、馬酔木、冬青位。
途中で蛇(ジムグリ?)に出会ったのが一番の収穫だった。
鳥の声聞かぬ樹海や紅葉散る 恵未
富岳風穴の中は思ったより広い。一年中解けない氷の山があった。
寒々と風穴の口開きをり 梢
宿に入り2時間半の句会の後、早々にバイキングの夕食を済ませ、
再び樹海へナイトツアーに出かける。
3名の指導員に誘導され、赤外線のランプを頼りに前の人につかまりながら
樹海の中を進む。狐、狸、むささび、梟などの夜行性動物が観察できるものと
期待していたが、植生の貧困さから樹海には大きな野生動物は
生息しないと言う。40分程前進してようやく鼠の巣に到達し、
みんなが目を凝らして見たものは掌に入るような小さな姫鼠2匹。
着ぶくれて夜の樹海へ数珠繋ぎ 夏斗
霜の夜や樹海の闇の姫ねずみ 奈津子
樹海を抜けて戻ると、夜空には満天の星が輝いていた。
森を出で寒星かぞへ得るほどに 晴生
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