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都市の1句です。新人ライターが続きます。
2019/ 01/ 31 都市の1句(47)
中尾文月
磨かれし下乗の石や秋日影 木村風子
この句をなぜ選ばせて頂いたかというと、「下乗の石」に
目が留まったからだと思っています。
「下乗の石」があるのだから、由緒ある社寺であろう……、
と直接句の感想を述べるべきかもしれませんが、
ここでは作者の人柄についても触れていきたいと思います。
作者の木村風子さんとは、二度吟行を共にしたことがあります。

その時、先生方が教えてくださることはもちろん、
先輩の方々の木々や花の説明を一言一句漏らさぬようにメモし、
自分のものにしようとされていた姿が印象に残っています。
対象となるものへのしっかりとした観察や知識を下敷きにして
句を作られる方なのだと感じました。
この句もおそらくはまず石に目を留められ、その何であるかを
調べられ、この句を作られたと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、「下乗の石」の「下乗」は
社寺などの境内でその場所以内は車馬の乗り入れを禁ずるところです。
そこに石を置いてあることからこれは貴人への対応だと思われます。

また、「磨かれし」とあるのですから今でも大切にされていることも
感じられます。とは言え、華やかな社殿ではなく「石」に注目された
人柄に心惹かれました。
平素は感性鋭く迸るような勢いを持つ句に目を奪われがちな
私ではありますが、感性の点と点をつないでいくタイプの人にはない、
きちんとした広さを持つ面を作って後に少しずつ前進される風子さんを
素晴らしいと感じています。
私は彼女が後退することの少ない句作りをされてゆくことをとても
うれしく楽しみに思っています。
僭越ながらこれからの彼女の句に期待をしております。
中尾文月
磨かれし下乗の石や秋日影 木村風子
この句をなぜ選ばせて頂いたかというと、「下乗の石」に
目が留まったからだと思っています。
「下乗の石」があるのだから、由緒ある社寺であろう……、
と直接句の感想を述べるべきかもしれませんが、
ここでは作者の人柄についても触れていきたいと思います。
作者の木村風子さんとは、二度吟行を共にしたことがあります。

その時、先生方が教えてくださることはもちろん、
先輩の方々の木々や花の説明を一言一句漏らさぬようにメモし、
自分のものにしようとされていた姿が印象に残っています。
対象となるものへのしっかりとした観察や知識を下敷きにして
句を作られる方なのだと感じました。
この句もおそらくはまず石に目を留められ、その何であるかを
調べられ、この句を作られたと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、「下乗の石」の「下乗」は
社寺などの境内でその場所以内は車馬の乗り入れを禁ずるところです。
そこに石を置いてあることからこれは貴人への対応だと思われます。

また、「磨かれし」とあるのですから今でも大切にされていることも
感じられます。とは言え、華やかな社殿ではなく「石」に注目された
人柄に心惹かれました。
平素は感性鋭く迸るような勢いを持つ句に目を奪われがちな
私ではありますが、感性の点と点をつないでいくタイプの人にはない、
きちんとした広さを持つ面を作って後に少しずつ前進される風子さんを
素晴らしいと感じています。
私は彼女が後退することの少ない句作りをされてゆくことをとても
うれしく楽しみに思っています。
僭越ながらこれからの彼女の句に期待をしております。
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