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2019/ 02/ 26
                 
             井の頭吟行記                 吉川わる


2月の吟行は井の頭公園であった。この公園には何度も来たことが
あるのだが、吟行という意識で見ると、ちょっと違って見えてくる。

                     カフェ


吉祥寺という繁華街から徒歩五分という距離にあり、
週末は手作りの品を売る露店、大道芸や笛吹きなどの
パフォーマンスがあり、大勢の人でにぎわっている。
大道芸は句会でも多く取り上げられていた。
公園はけっして静かではないのだが、耳障りではない。
それは人工の音がないからだ。

鳥の声、子どもの声、足音、ボートの軋む音、リコーダー。
新宿御苑の方が広いように思うのだが、
あそこは電車や車の音が意外と聞こえてくる。
公園に入る道がすべて下り坂で、フラットな窪地に
大きな池があるという地形が影響しているのだろうか。

                                          池


池を巡っていると対岸の曲芸師はミニチュアのようで、
バイオリンが風に乗って聞こえてくる。
動物園にはかつて象のはな子がいたのであり、
その不在を詠んだ句が印象的だった。
池の東に回れば、神田川が流れ出す。
土曜日の井の頭公園は、人も鳥も吸い込んで、
空間と時間が交差していた。

                     椅子


    日向ぼこ影の離れてしまひさう  吉川わる
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