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少々遅れましたが、5月の吟行記です。

2019/ 07/ 03
                 
藤沢新林公園吟行紀
                 市川走

歴史的な十連休の最中、二十六名の参加を頂いた新緑の新林公園での吟行報告です。
江ノ島も望めるこの小高い公園は植生豊か、かつ管理の行き届いた素晴らしい吟行地でした。
この恵まれた環境に触発され数々の名句が詠まれました。

れいさんの
空の色葉の色深め春行けり 
はまさにこの日でなければ詠めない一句。
 
冬青さんの
走り根は足場のひとつ百千鳥

                  走り根
                 

棗さんの
金蘭や森の深きを灯しをり 
はこの森の奥深さを表しています。

囀りの訴へかける強さかな 
は遊妹さんの一句。画眉鳥や老鶯など鳥類も豊富な公園でした。

しかし、何と言ってもこの日は尺とり虫。

尺とりの伸びて虚空を探りたる  わる
(先生の特選、他3名の特選句。)

糸を繰る尺とりしばし棒となる  月夜 
(たまごさんの特選句。)

落ちさうな尺とり魂を止めたる  夕紀 (風林さんの選)

そして以下の3句が先生の特選句です。

草動き番の蛇のからみおり     ひなこ

熊蜂の急旋回に羽を見し      有也

蛙鳴く清掃奉仕団の黙       走


以下が、みなさんがそれぞれ選んだ特選句です。

よき風に笑顔出でけりまむし草    夕紀

遅き日の土塊ほろとくづれけり    良

老木の擦れの窪み蘖ゆる       れい

新緑の風の音して風過ぐる      わる

                          青葉


しゃぼん玉はじけて空がのこりけり  良

野を行くや蒲公英除けて足運び    菜園

薪積みしすき間より出づ蟻二匹    走

暗き土間にへっつひどんと春闌くる  遊妹

若葉風道に迷ふも楽しけれ      歩人

江ノ島を目指し飛ぶ栗鼠椎若葉    歩人

もの真似の声色高し青葉風      走

熊蜂の藤の花弁を押し開き        有也

指切りを拒む少年若葉風         月夜

新緑の光と影とにぎり飯          亘

少年に手のざりがにと頬の泥       冬青


新緑の風と木々の匂いに一日中に包まれた良き吟行でありました。
以上、吟行当番の皆様、吟行係の皆様、ご参加の皆様、そして先生に
厚くお礼を申し上げ報告を終わりたいと思います。
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