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今年の1泊吟行は、災害後の南房総です。

2019/ 11/ 23
                 
          館山一泊吟行記(一日目)       秋澤夏斗 

今年の一泊吟行は奇しくも台風15号の風害に見舞われた館山周辺を
訪ねることとなった。少し緊張した面持ちで、会員23名を乗せたバスが
8時に町田を出発。
朝霧に烟るアクアラインを抜けていよいよ千葉に入る。
車窓から台風の爪痕を見て回ることになる。
               
                           倒木


青いビニールシートで覆われた瓦屋根、全壊した茅葺屋根、
壊れて放置されたままのビニールハウス、倒木で荒れ果てた杉林などが散見される。
一日も早い復興を祈るばかりである。一方、太陽電池パネルなどは損傷が少なかったのか
正常に機能しているようにも見えた。
 
10時過ぎにバスは大山千枚田に到着。
収穫をすでに終えた穭田が広がっていた。
美しい曲線を描く畦には野紺菊が可憐な花をつけている。田の端には熟した柿が
鈴なりの柿の木が立っていた。千枚田も大きな被害に遭われたのであろうが、
自然の回復力には眼を見張るものがある。

           千枚田

 
思い思いに吟行して再びバスに乗り海辺に向う。
美味しい海鮮料理の昼食を済ませ、太平洋に浮かぶ周囲
4キロメートルの仁右衛門島を訪ねる。島へは2班に
分かれて二人の船頭の操る手漕ぎの木舟で渡る。
渡航距離200mの短い船旅だ。

                                        仁右衛門


島には立派な屋敷が一軒あり、句碑が沢山建っていた。
島の裏に回ると稲荷大明神を祀った祠が岩洞の中にあった。
鳥の鳴き声も何種類か聞くことが出来、石蕗の花、
磯菊が咲いていた。花蔓草という珍しい外来種も見られた。
磯の岩は砂岩で形成され、打ち寄せる波に大きく削られた
奇岩が幾つも見られた。
 

島を離れて宿泊地の館山のホテル夕日海岸昇鶴を目指す。
夕食前に、東京湾に沈む美しい夕日を背景に五句出しの
句会を行う。主宰選の特選句は以下の五句であった。
  
秋の蝶もつれて風の千枚田      岳童
  
秋爽や鳶の声降る島屋敷       梢

肉厚の葉のつややかに秋の蝶    梢
  
感触の手になつかしき蝗かな     遊美
  
海老網を扇に広げ秋の浜       有也

句会の後楽しい夕食を終えて外に出ると、東の空に三日月が
美しい姿を見せていた。
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