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今回も,ざぼん句会のメンバーの、句を紹介します!!

2019/ 12/ 09
                 

           都市の一句(40)       田中 聖羅

      蟇おはす日本大通りの夜更け    山中 あるく


山中あるくさんは、「歩み句会」を経て、都市の会員になられ、
既にいろいろな句会に顔を出されていらっしゃるが、
「歩み句会」への欠席投句も続けられている。
めったにお目にかかることはないが、夏のある日、電話をいただいた。

俳句の話ではない。あるくさんはある写真家の
作品の現像現場の助手をされたのだと言う。
現像液から浮かび上がる映像、それを取り上げる
大きな作業、その手ごたえの実感を興奮気味に話された。
その方々の展が開かれているという。

次の日、その展を拝見しようとおもい、横浜の
みなとみらい線の新高島駅を目指し電車に乗った。
あるくさんに一報すると感激してくださり会場で
会うこととなった。

                       カフェ


新高島駅の地下に各美術家のアトリエのような展が
開かれていた。長年,画布に向かっていた私には
慣れ親しんだ光景であった。
あるくさんが助手をなさった写真家は、既に新進として
活躍されている魅力ある女性だった。そして、あるくさんと私は、
俳句ではない空間で一緒の時間を過ごしたのである。

掲句は、次の「歩み句会」にさっそく出されていた。
きっと展覧会の打ち上げで帰りが夜更けになったときの
一句だろうと直感した。
その夜更けは、何か果たした後の充足感に満ちていただろう。
日本大通りは、横浜関内の日本大通り公園である。
風通しのよい広々とした通りであり公園でもある。
そこに一匹の蟇を捉えたそのとき、あるくさんは、
まぎれもなく俳人として蟇に敬意を表した一句を
仕立てたのだ。諧謔性ありの評もあったが、「蟇おはす」には、
なにか素直で大らかな、あるくさんの味わいがある。

                   蝦蟇


「都市」10月号の「趣味燦燦」にあるくさんの
「ゆるゆる鑑賞・美術の場合」の文があり、美術への傾倒が
長いことが読みとれる。
あるくさんの新鮮な感覚は、いろいろな場での実践や
感動から生まれるものなのだろう。
その感性を表現に繋げてゆく・・・その道を、
あるくさんはもう歩み始めている。


   
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