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新年おめでとうございます!!              春野同人の関山さんによる主宰の俳句の鑑賞です。

       中西夕紀作品「都市」八月号より 
                        関山恵一(春野同人)

   
        秋江の船を消したる煙かな
 
「秋江」をどのように解釈したら良いか迷いましたが、そのまま秋の湾と思いました。
「煙」も霧と解釈しました。晴れわたった秋の一湾をゆく白い船を眺めて
ロマンに浸っていた作者、出始めた秋特有の霧に白い船もあっという間に消えてしまった。
広がる夢を一瞬で奪われた作者の気持ちが表れている。
 
                            煙


        とんぼうに指あそばせて自閉の子 

自閉症でいつも一人で時を過ごしている子、今日も独り川邉に佇み、
水を眺めているその子の指に蜻蛉が止まった。
思わず嬉しくなって蜻蛉の止まった指をくるくると回すと
蜻蛉はパッと離れてゆくが、またその指目指して飛んでくる。
蜻蛉が遊んでいるのではなく、指を遊ばせているとしたところが秀逸。

        湯に浸かるごとくにしゃがみ稲穂波 

一面に良く育った稲穂。その田に入って行く作者、
実った稲の香りにたけなわの秋を感じる。
わずかな風で波打つ稲の中にしゃがみ込むと、
あたかもお湯に浸かるように感じる。
稲の香りに包まれて豊かな気持ちの作者が見えてくる。

        石叩牛の背骨を歩きをる 

黄鶺鴒のように派手でなく、どこにでもいる白と黒の白セキレイ、
磧の石をちょんちょんと器用に飛んでゆく姿が何とも愛らしい。
その鶺鴒が牛の背に乗ってちょんちょんんと跳んでいる。
牛の背中に何か食べ物でもあるのか、茶色の牛の背と
白セキレイの取り合わせが面白い。

                 ushi.jpg


        走り根に座れば秋の蝶ふたつ 

森を散策している作者、太い走り根に座って一息つき、
目を閉じて秋の声を聴いている。鳥の声、虫の声、風の音・・。
ふっと目を開けると二匹の蝶が目の前を通り過ぎてゆく。
心なしかゆっくり、弱弱しく飛ぶ蝶に深まりゆく秋の中の自分を
重ねているのかもしれない。まだまだ頑張らねば。
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