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新年おめでとうございます!! 春野同人の関山さんによる主宰の俳句の鑑賞です。
2019/ 12/ 31 中西夕紀作品「都市」八月号より
関山恵一(春野同人)
秋江の船を消したる煙かな
「秋江」をどのように解釈したら良いか迷いましたが、そのまま秋の湾と思いました。
「煙」も霧と解釈しました。晴れわたった秋の一湾をゆく白い船を眺めて
ロマンに浸っていた作者、出始めた秋特有の霧に白い船もあっという間に消えてしまった。
広がる夢を一瞬で奪われた作者の気持ちが表れている。

とんぼうに指あそばせて自閉の子
自閉症でいつも一人で時を過ごしている子、今日も独り川邉に佇み、
水を眺めているその子の指に蜻蛉が止まった。
思わず嬉しくなって蜻蛉の止まった指をくるくると回すと
蜻蛉はパッと離れてゆくが、またその指目指して飛んでくる。
蜻蛉が遊んでいるのではなく、指を遊ばせているとしたところが秀逸。
湯に浸かるごとくにしゃがみ稲穂波
一面に良く育った稲穂。その田に入って行く作者、
実った稲の香りにたけなわの秋を感じる。
わずかな風で波打つ稲の中にしゃがみ込むと、
あたかもお湯に浸かるように感じる。
稲の香りに包まれて豊かな気持ちの作者が見えてくる。
石叩牛の背骨を歩きをる
黄鶺鴒のように派手でなく、どこにでもいる白と黒の白セキレイ、
磧の石をちょんちょんと器用に飛んでゆく姿が何とも愛らしい。
その鶺鴒が牛の背に乗ってちょんちょんんと跳んでいる。
牛の背中に何か食べ物でもあるのか、茶色の牛の背と
白セキレイの取り合わせが面白い。

走り根に座れば秋の蝶ふたつ
森を散策している作者、太い走り根に座って一息つき、
目を閉じて秋の声を聴いている。鳥の声、虫の声、風の音・・。
ふっと目を開けると二匹の蝶が目の前を通り過ぎてゆく。
心なしかゆっくり、弱弱しく飛ぶ蝶に深まりゆく秋の中の自分を
重ねているのかもしれない。まだまだ頑張らねば。
関山恵一(春野同人)
秋江の船を消したる煙かな
「秋江」をどのように解釈したら良いか迷いましたが、そのまま秋の湾と思いました。
「煙」も霧と解釈しました。晴れわたった秋の一湾をゆく白い船を眺めて
ロマンに浸っていた作者、出始めた秋特有の霧に白い船もあっという間に消えてしまった。
広がる夢を一瞬で奪われた作者の気持ちが表れている。

とんぼうに指あそばせて自閉の子
自閉症でいつも一人で時を過ごしている子、今日も独り川邉に佇み、
水を眺めているその子の指に蜻蛉が止まった。
思わず嬉しくなって蜻蛉の止まった指をくるくると回すと
蜻蛉はパッと離れてゆくが、またその指目指して飛んでくる。
蜻蛉が遊んでいるのではなく、指を遊ばせているとしたところが秀逸。
湯に浸かるごとくにしゃがみ稲穂波
一面に良く育った稲穂。その田に入って行く作者、
実った稲の香りにたけなわの秋を感じる。
わずかな風で波打つ稲の中にしゃがみ込むと、
あたかもお湯に浸かるように感じる。
稲の香りに包まれて豊かな気持ちの作者が見えてくる。
石叩牛の背骨を歩きをる
黄鶺鴒のように派手でなく、どこにでもいる白と黒の白セキレイ、
磧の石をちょんちょんと器用に飛んでゆく姿が何とも愛らしい。
その鶺鴒が牛の背に乗ってちょんちょんんと跳んでいる。
牛の背中に何か食べ物でもあるのか、茶色の牛の背と
白セキレイの取り合わせが面白い。

走り根に座れば秋の蝶ふたつ
森を散策している作者、太い走り根に座って一息つき、
目を閉じて秋の声を聴いている。鳥の声、虫の声、風の音・・。
ふっと目を開けると二匹の蝶が目の前を通り過ぎてゆく。
心なしかゆっくり、弱弱しく飛ぶ蝶に深まりゆく秋の中の自分を
重ねているのかもしれない。まだまだ頑張らねば。
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