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主宰の句を、関山恵一さんが鑑賞してくださいました。

文字色 「都市」四月号 主宰句鑑賞    関山恵一(春野同人)
   
   鯛焼に唇焼いて六区街


年末の風物詩浅草の「羽子板市」を訪れたのであろう。
人で賑わう六区を歩き小腹の空いた作者、鯛焼の香に誘われ
購入し、ぱくりと嚙んだ鯛焼の熱さに唇を焼いてしまった。
それもご愛敬、歴史ある下町の年末風景に詩心が広がったに
違いない。さりげなく「唇焼いて」の措辞が広がってゆく。

着物



   大奥のごと羽子板の姫並ぶ 

前の句と同じ、浅草寺納の観音、羽子板市。
キーホルダー用の小さなものから特大羽子板まで数百の
羽子板がならび、外国の方も含めて大勢の観光客が集まる
.新型コロナウイルスでなくてよかった。
作者の目についたのは、歌舞伎の人気役者の美しい女形の羽子板であった。
「邪気を跳ね返す板」として江戸時代から続いている「羽子板市」で
作者は何を思い浮かべていたのであろう。

   木の中のわづかを速し寒の鳥
 
葉を落として枯木となった林、鬱蒼と繁っていたころと違って隙間だらけの枯木林。
でも、林は林隙間こそあるが真っすぐに抜けることは出来ない。
僅かな隙間を縫って飛んで行く冬の鳥
「よくぶつからずにそれもかなりの速さで抜けていく姿に
おどろき、また感動している作者の顔が見える。

   球ひとつ犬に預けて枯野かな 

仕事が一段落して、犬の散歩に原っぱに出かけた作者。
広い枯野でゆっくり物を考えたいのだが、犬はまとわりついて
離れない、そこで犬の大好きな毬を投げてやる。犬はその毬に
飛びつき、咥えたり転がしたりして遊び始める。
「さ、ゆっくり句作でもしようかな・・」という作者の頬笑みが見える。

鳩

   

  春寒の色のひとつに鳩の首 

立春と言えどもまだ寒い。花がなくなって周囲から色が
消えてゆく。そんな中でも、黄色に輝く石蕗の花、山茶花、
冬椿と冬の色もないことはない。
キジバトの首の下に黒と赤褐色のうろこ状の模様がある。
デデッポーと鳴く哀愁を帯びた鳴き声は春寒にぴったりである。

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レオフェイ
Posted byレオフェイ

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