青さんの第1句集「恭」へ、編集男子の語る第2弾、有也さん登場です。

       句集『恭』を読んで           森 有也
    
    旅先の床屋に睡る黄葉かな 北杜 青 

最近の俳句には切字を使わない傾向があるが、青さんの句集には
しっかりと切字を生かした句が多い。それは、青さんが学生時代に
藤田湘子のもとで俳句の基本を徹底して学ばれたからに違いない。
掲句は二句一章のかな切れの句であるが、
このほかにも次のようなかなの句がある。
    
    夜の雲を何色と問ふ冬木かな 
   
    耳朶に孔あけに行く桜かな

                             桜道

                                    
    
    裏口にコック憩へる桜かな

二句一章のかなの句の中には、上の句のように物の見える
普通名詞季語を使ったものがある一方、以下の句は時候・天文の
抽象(的)名詞季語を用いており、句集324句中14句を数える。
 
    間伐の切口粗き朧かな 

    食券の儚く並ぶ立夏かな

その他、かなの句の中には一句一章の句が9句ある。
 
    春の日のひしやぐるペットボトルかな

                                ペットボトル

 
    黍畑割つて半裸の漢かな


私自身は、一句一章の句を初心の頃から盛んに作って、未だにこの領域を
出ることが出来ない。二句一章の句では、とくに物の見える季語を
取り合わせるのは難しい。しかし、俳句だけができる大きい世界を
詠うことができる。冒頭に挙げた句群から、虚子の
<遠山に日の当りたる枯野かな>の世界へ挑戦している青さんが見えてくる。
私はコロナ籠りの日々、いろいろ教えてくれる句集『恭』を繰り返し熟読している。
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