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今回の都市の一句は積さんです。親しい和さんが語っています。

2020/ 12/ 28
                 
               都市の一句 (43)
                            高見 和

    命日や真紅の薔薇を束にして  長谷川 積
 
  
 私の心に残る一句である。
都市古典俳句勉強会で詠まれた句。『都市』10月号に掲載されている。
「薔薇」は、花の女王である。その中でも真紅の薔薇を詠んでいる。
「愛」の象徴ともされる薔薇。花言葉は、「愛」だけではない。 
その本数や色、部位、状態や組み合わせによっても変わってくるようだ。
また、「薔薇」は、トゲのある低木の総称である「いばら(茨)」が、
転訛したものと言われている。今では、愛と美の象徴として
扱われてことが多い薔薇。古くから想い人への気持ちを伝える花として
用いられている。

                                   薔薇


積さんは奥さん想いである。家庭は、二人のお嬢さんと共にまさに
『バラ色の人生〈ラビアンローズ〉』の生活を送っていらしたに違いない。
突如、その家庭に不幸が舞い込んだ。二人の娘を残して、
奥さんが不治の病で帰らぬ人となってしまったのだ。
鎌倉にあるお寺を菩提寺として、毎月命日の17日には
お墓まいりを欠かさない。

                                 霜


 この句、特に「真紅」が良い。「真紅」は濃い紅色。正真の紅色。
「深紅」である。真紅の薔薇は、「愛情」、「美」、「情熱」「熱烈な恋」を
意味するようだ。「死ぬほど恋焦がれています。」という花言葉もある。
通常は、カラフルに赤色、白色、ピンク色を混ぜそうなもの。
また佛花は、通常白いバラを供えることも多いようだが、積さんは
「真紅」のみの薔薇を供えている。

「薔薇を束にして」の表現が、また良い。一体何本を束にしているのだろうか。
九本か。二十四本か。 積さんの奥さんに対する愛情の強さが伝わってくる。
薔薇は美しい。奥さんは美しい。心も美しい。単刀直入の男らしい表現である。

蓮
                                     

積さんとは、玉川大学の俳句教室〈中西主宰が講師、萌の会〉で知り合った。
百人一首に造詣が深く、よい句を多く詠まれ、尊敬している。
受講中、中西主宰から「都市の句会」への入会を勧められ、共に在学中のまま、
都市「ざぼん」に入会した。この俳句教室は現在、大木満里同人が
講師で継続されているところ、コロナの影響で教室は、休講中となっている。
寂しい限りである。

この句は、彼と同じく人生の伴侶に先立たれた私の心に残る一句である。
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