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9月の吟行記です!
2021/ 09/ 18 東高根森林公園吟行記 菅野れい
今回の吟行は参加者15名という少ない人数で行われました。
句会場に人数制限のあることを事前にお知らせしてあったせいで、
参加を遠慮された方もいらしたと聞きます。係としては心苦しい限りです。
せめて本稿で、吟行の一端を味わっていただければ…と思います。
しとしとと雨がそぼ降る中、一行は10時少し前に東高根森林公園
パークセンター前に到着しました。そこで、主宰から
「雨の中なので、歩きながら句を作るというより、材料拾いをするつもりで
見たもの、見つけたことをしっかりメモしていきましょう。
そして、この雨も材料の一つとして詠み込めるといいですね。」
というお言葉をいただき、参加者は三々五々、園内に散って行きました。
広い園内は見どころがいっぱい。そのうちのいくつかを、
皆さんの句で辿ってみることにします。
まず、入口近くのケヤキ広場から湿生植物園へ続く道を歩いていくと、
道に沿っていくつかの池とせせらぎが続いています。
傍らには、秋の草花が数えきれないほど…。
池に触れ花影ゆらす百日紅 棗
溝萩や虫の集まる小川べり 夏斗文字色
湧く水の水面押しあげずずこ玉 夕紀
公園上部にある古代芝生広場を守るかのようにぐるりと囲んでいるのは、
県の天然記念物に指定されているシラカシ林です。
昼なお暗い、鬱蒼とした茂りが続いています。

しらかしの暗き森より秋の蝶 積
そのシラカシ林を抜けていくと、古代芝生広場に辿り着きます。
この広場の下には、弥生時代から古墳時代にかけての遺跡(住居跡)が
眠っているとのこと。
秋霖や足下遺跡の芝に佇ち 佐紀
秋蝶の古墳の周りめぐりけり 和
秋の声満てる無人の広場かな れい
古代芝生広場から少し下っていくと、道なりに古代植物園が続いています。
ここには古代の人々の生活に関わる植物が集められ、所々に
それぞれにちなんだ和歌が書かれた札が立っています。
万葉歌札に書きあり藤袴 みづき
そこからさらに急坂を下りていくと、両脇には迫ってくるような
見事な竹林が続いています。
鳥渡る孟宗竹の上渡る 千砂
こんな感じで園内を一周できるのですが、他にも書ききれないほど
見どころがいっぱいで、予定していた2時間はあっという間に過ぎて
いってしまいました。
その後、8句出し7句選の句会が行われましたが、同じところを見たとは
思えないような個性的な句が多く出され、大変勉強になったことでした。
主宰からは「みんな吟行に慣れてきて、発見がうまくなってきた。
視点が千差万別。各々がしっかり見、自分の目を信じて作っていることが分かる。
また、どの句も季語がしっかり坐っている。」との評をいただきました。
最後に、主宰の特選句を紹介して終わらせていただきたいと思います。

雨の葉に宿る光や秋海棠 ちひろ
蜘蛛の囲に光る水玉秋の雨 遊美
雨に色増して水引草の揺れ 梢
秋霖や木道は空映しをり 真咲
葭原の風のさやける高さかな 風
次回からは人数制限などなく、みんなで吟行が楽しめることを心から願っております。
(尚、以下の特選句及び本文中の句につきましては、作者のご了解をいただいて掲載させていただきました)
今回の吟行は参加者15名という少ない人数で行われました。
句会場に人数制限のあることを事前にお知らせしてあったせいで、
参加を遠慮された方もいらしたと聞きます。係としては心苦しい限りです。
せめて本稿で、吟行の一端を味わっていただければ…と思います。
しとしとと雨がそぼ降る中、一行は10時少し前に東高根森林公園
パークセンター前に到着しました。そこで、主宰から
「雨の中なので、歩きながら句を作るというより、材料拾いをするつもりで
見たもの、見つけたことをしっかりメモしていきましょう。
そして、この雨も材料の一つとして詠み込めるといいですね。」
というお言葉をいただき、参加者は三々五々、園内に散って行きました。
広い園内は見どころがいっぱい。そのうちのいくつかを、
皆さんの句で辿ってみることにします。
まず、入口近くのケヤキ広場から湿生植物園へ続く道を歩いていくと、
道に沿っていくつかの池とせせらぎが続いています。
傍らには、秋の草花が数えきれないほど…。
池に触れ花影ゆらす百日紅 棗
溝萩や虫の集まる小川べり 夏斗文字色
湧く水の水面押しあげずずこ玉 夕紀
公園上部にある古代芝生広場を守るかのようにぐるりと囲んでいるのは、
県の天然記念物に指定されているシラカシ林です。
昼なお暗い、鬱蒼とした茂りが続いています。

しらかしの暗き森より秋の蝶 積
そのシラカシ林を抜けていくと、古代芝生広場に辿り着きます。
この広場の下には、弥生時代から古墳時代にかけての遺跡(住居跡)が
眠っているとのこと。
秋霖や足下遺跡の芝に佇ち 佐紀
秋蝶の古墳の周りめぐりけり 和
秋の声満てる無人の広場かな れい
古代芝生広場から少し下っていくと、道なりに古代植物園が続いています。
ここには古代の人々の生活に関わる植物が集められ、所々に
それぞれにちなんだ和歌が書かれた札が立っています。
万葉歌札に書きあり藤袴 みづき
そこからさらに急坂を下りていくと、両脇には迫ってくるような
見事な竹林が続いています。
鳥渡る孟宗竹の上渡る 千砂
こんな感じで園内を一周できるのですが、他にも書ききれないほど
見どころがいっぱいで、予定していた2時間はあっという間に過ぎて
いってしまいました。
その後、8句出し7句選の句会が行われましたが、同じところを見たとは
思えないような個性的な句が多く出され、大変勉強になったことでした。
主宰からは「みんな吟行に慣れてきて、発見がうまくなってきた。
視点が千差万別。各々がしっかり見、自分の目を信じて作っていることが分かる。
また、どの句も季語がしっかり坐っている。」との評をいただきました。
最後に、主宰の特選句を紹介して終わらせていただきたいと思います。

雨の葉に宿る光や秋海棠 ちひろ
蜘蛛の囲に光る水玉秋の雨 遊美
雨に色増して水引草の揺れ 梢
秋霖や木道は空映しをり 真咲
葭原の風のさやける高さかな 風
次回からは人数制限などなく、みんなで吟行が楽しめることを心から願っております。
(尚、以下の特選句及び本文中の句につきましては、作者のご了解をいただいて掲載させていただきました)
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